11章 援軍要請
第91話 アルミナ平原
「ハイム、フク、木下健太、7日間の謹慎処分、本日にて解除する。今後、大事な任務を任せる事がきっとあるであろう、失敗は許されない!!それを心から理解し、任務に励んでくれ!!」
「はは!」
「はっ!」
「ほい!」
俺の名は木下健太、12才の時、巨大な黒い鮫、ダークルカンに飲み込まれたと同時に、45億年後の地球にタイムスリップしたと考えられる。それから4年、俺はピカトーレンのシュールの施設でこの世界の言葉を学び、この世界の習慣を学び、この世界の生活を学んだ。
現代に帰る事が出来るのかどうかわからないけれども、俺は俺なりにどう生きていこうかを考えながら今を生きている。
今は隣国のラマ国で外交官として任務に励んでいる。
そう、バッド王自らのスカウトで・・・
★
ゴン!
「バカ!!バッド様の前でほい!はねぇだろ!」
剣のグリップ部分、つまり握りの部位で健太はフクに小突かれた。
「いってぇなぁ!!つい口から出てしまったもんは仕方ねぇだろ!」
フクは紳士だ。曲がった事を好まない。おふざけの多い健太にとっては、良い先輩なのかもしれない。
「いや~あれは健太、お前がいけないよ?」
「なんだよ!ハイムまで、悪かったよ!!気を付けるよ!!」
その言葉が聞きたかったのか、二人は笑顔に変わる。
仲間に笑顔で察されてしまうと、悪い気分にはなれない。健太は、自分が引く事が大事なんであろうと感じた。
なんだかんだ言って、フクとハイムは健太にとっては良き仲間。
勿論シエル、イルグルやメルーも大事な仲間ではあるが、彼らは身内仲間。今はこの2人と仕事をしている限りは良きチームワークをやはり作り上げるべきという意識は勿論持っていた。
「フク隊長!!フク隊長!!」
上層部の一人の猫族がフクを読んでいる。健太の目から見ると三毛猫瓜二つ。どうやらフクの部下の様だ。
「どうした?私はここだ!?」
「あ、フク隊長、大変な事が起き始めているかもしれません。」
「大変な事?どういう意味だ。詳しく聞かせろ!!」
フクは真顔で部下に応えようとする。
「大変な事なら、僕も聞いた方が良いかな?」
少しニヤけた顔でハイムは話に割って入る。
「あ、ハイム様も丁度良い、聞いてください。あっ
(・・・なんなんだコイツ)
「バドーム帝国とラマの国境である、アルミナ平原にてバドーム帝国軍、不審な動き有り!その数、想定2万!!指揮しているのは、バドーム帝国第4突撃隊長ボ=ギール」
「なんだと!!」
フクは眉を吊り上げ、鼻にシワを寄せた。
「すぐに国王に伝達せよ、我々は国王の指示を待つ!!」
「はは!!」
もしかして、ラマ国に攻めてくるつもりなのだろうか?しかも指揮官がボ=ギール。
ボ=ギールは健太にとって苦手な相手である。ラマ国中央図書館を燃やし、バピラ湖ではマキ=オースガを操り殺されかけた。そして猫族500人をロッヂと共にマタタビ漬けにした張本人である。
そんな悪事をふと思い出す健太、その思いはやがて健太の心に火が着いた
(もしバッドから攻撃命令が出たら、俺は奴だけを狙い、退治してやる!)
とはいえ、平和な日本で過ごしてきた健太が本当に退治する事が出来るのだろうか。
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