第90話 戦争の予感
そして再びここはバドーム帝国第4突撃部隊の陣
「ボ=ギール様、食事の準備が出来ました!!」
「そこにおいておけい!!」
「ハッ!!ところで昨日申し上げた件ですが・・・」
「うむ、皆に顔を出せだったな・・・」
「はい、お願いできますでしょうか?昨日も申し上げましたが、約束は約束です!」
「絶対にいかないとダメなのか?」
「・・・ボ=ギール様!一体どうされたのですか!?急に部屋に閉じ籠る様になって・・・」
ボ=ギールの部下はあまりにも我儘な隊長に対し、少し苛立ちが出てきた。
「貴様!俺様に逆らうのか!?俺様は第4隊長の・・・」
「ボ=ギールでしょ?」
「え?」
「む?きっさまー!俺様を呼び捨てで呼びやがって!」
「え?いや、私では・・・」
ボ=ギールの顔は未だ完治しておらず、傷だらけであった。そんな姿を見られたくない!が理由で、部下達の前に姿を見せなくなったボ=ギール。
しかし、部下にも我慢の限界があったのか?
「違うよ、ボ=ギール隊長、俺だよ。」
どうやら部下との会話の間に入ったのは、第3隊長、紅ピクシーのカイトであった。
「こ、これは第3隊長カイト様!」
ボ=ギールの部下はいつの間にか現れたカイトに敬礼する。
「ごめんね〜護衛兵、悪いんだけど、ボ=ギール隊長と2人にしてくれないかなぁ?」
「はは!」
ボ=ギールの部下は食事をその場に置き、クルッと180度回転し、立ち去った。
「っちぃ、カイトか、何しにここに来たんだ!!」
「何しにって命令だよ、アル・バード様が全く君が働かないって聞くからさ、様子を見にきたんだよ?」
「あと3日、3日あれば俺は動く、そう伝えて・・・」
「炎獣玉!!」
「ぐ・・・ぐわぁああああああああ!!」
カイトは炎で包まれ玉をボ=ギールの頭に向かって投げつけた。
「何が伝えてだよボ=ギール隊長、アル・バード様はご立腹だよ!
そして君に最後のチャンスだって、今すぐ兵を連れてラマ国へと移動しろって。
光の属性を持つ者を探し出し、殺せだってさ!それが出来なかったら、ボ=ギール隊長、俺がお前なんかを殺しちゃうよ?」
ボ=ギールの頭は丸焦げ状態となった。アル=バード大臣に顔を殴られ、カイトに燃やされた顔は、火傷を負い、髪はボサボサになってしまった。
「カ・・カイト、貴様〜!」
ボ=ギールのこの言葉に対し、カイトは再び右片手だけを上に上げ、炎獣玉を作った。
「身の程を知れよボ=ギール、実はお前が弱いエルフなんて事は、俺は知っているんだぞ!?」
カイトはボ=ギールの顔付近で飛び、炎獣玉で威嚇する。
「お前は俺の駒なんだよ、アル=バード様の命令も大事だが、俺の命令を第一優先しないと、次は髪の毛生えなくなるよ?」
「ううう・・・」
ボ=ギールはここまでするカイトに恐怖を覚えた。今みで見た事ないカイトの行動であった。
「ボ=ギール隊長、俺の左頬の傷を見てよ!?これね、20年くらい前に、蒼ピクシーの女にやられた傷なんだよ。
この傷はもう消える事がない。でもボ=ギール隊長の傷は時間が経つと治るんだからさ、羨ましいよ。
俺に傷を負わせたあのボインのピクシー、あの女だけは絶対に許さねぇ!必ず捕らえて楽しませてもらった後に殺してやる!
なんせ俺は、ピクシーの中でも属性を2つ持つだけでなく、光粒子を自在に操る事ができる。特別なジョーカーなんだから。」
第11章 援軍要請へつづく
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