10章 ジョーカー
第86話 カードゲーム
夜、バピラでは各国で夜を好む種族もいる。それが、人間とエルフ以外の種族だ。
人間とエルフは基本夜の目を持っていない為、夜の活動をしない。
しかし、その他の種族は朝も昼も夜も、見える目を持っている・・・
ここはバドーム帝国第4突撃部隊の陣、兵力2万人という大きな組織である。
ピカトーレンとラマの民から彼らを見れば脅威であるが、夜は苦手の様だ。
コンコンコン
「ボ=ギール隊長!ご飯の準備ができました!!」
「そこにおいておけ!!」
「かしこまりました、隊長!!恐れながら申し上げます!!ここ5日隊長の顔を見ていないと、最近兵隊がザワついております。このまま放っておくと、士気に関わります。何卒ご意見をお聞かせください。」
「・・・もう日も沈んだ。明日には顔を出す!!」
「ありがたきお言葉!失礼しました。」
スタタタタタタ・・・
「・・・・行ったかな?・・・フゥ・・・明日顔を出すって言ってしまった・・・とはいえ、アル・バード様に鉄拳を喰らい鼻が曲がっている。こんな姿を兵士達に見せたら笑われ者だ!クソ!早く鼻を何とかせねば・・・」
そう、ボ=ギール隊長は、自ら提案したラマ国老朽化計画が失敗に終わり、バドーム帝国大臣であるアル=バードに何度めも殴られてしまった。
「俺様の名誉挽回を測るには、あの人間のクソガキを殺さねば!殴られた鼻の調子が良くなったら、ラマとピカトーレンのゴミどもを必ず第4突撃隊長のボ=ギール様が片付け、最後にあのガキを苦しみながら殺してくれるわ、せいぜい今を楽しんでおくんだな!!
フハハハハハハハハハハハハハハ!!」
★
_______________________________
「ハッ、イズミさん!!イズミさん!!しっかり~~!!」
「ルー、逃げ・・・メルー・・・つ・・たき・・・あな・・う・・・て・・・」
「イズミさん・・・う・・ううう・・・・」
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「ハッ!」
メルーは時々思い出す悪い思い出をまたしても夢で見てしまった。
「・・・朝か・・・」
いつも研究員達といる時はいつも明るい彼女だが、1人でいる時は、意外と孤独なのかもしれない。
「遅刻しちゃうわね、準備しなくちゃ・・・」
★
「よっし!出来たぞ〜!」
謹慎処分6日目の朝から俺は作った
「ん?健太君、今度は何を作ったんですか?」
「トランプだよ、このカードで色々な遊びが出来るんだぞ!」
「あ、そうですか、そんな紙切れでの遊びなんか僕には理解出来ませんけどね。」
「あのなあ、黒助、俺とお前が初対面の時と比べてかなり意地が悪くなってるぞ ︎もしかして、メルーの事まだ諦めてないのか?」
「意地が悪く?それはお互い様ですよー ︎メルーちゃんの事は今は思い出したくない。」
まぁ、そうだろう、メルーの尾行旅行記は黒助に精神的ショックを与えたのだ。
「そっかそっか、んじゃ、じじいとトランプでもするかな〜。」
健太は研究所長室へと向かう・・・その途中に研究所受付で書類整理しているメルーとリサが目に入った。
「なあなあ、メルー達、今からじじいとトランプしようぜ?」
健太はジョーカーを入れた53枚のカードをメルーに見せかけてペラペラとカードをいじるが・・・
「無視無視、仕事をしていない健太なんか無視無視」
と相変わらずのリサ。そしてメルーは。
「健太、今のあたし見てわかるでしょ?今忙しいの!今後も忙しいよ、だからイルグルと遊んだら?最近あの子元気無いみたいだし、一体何があったのかしら。」
(・・・何故知らない?あんたのせいで失恋中です。そして俺、知ってます・・・
仕方がない、一番乗りの悪そうなじじいのところに行ってみるか。)
ノリの悪いというか、やはり元気がないと健太は感じた。メルーも失恋中だし逆にシエルと遊んだ方が良いと、つくづく思った。
コンコン
「ん?メルーかの?入・・・」
「失礼しまーす!!」
「ブワー!健太か!驚かせるな!入る時はもう少し優しく入らんか!ドアが壊れるじゃないか!」
「アッハハハハハ!なあ、トランプ作ったんだ、トランプしようぜ。」
「ほう、とらんぷとな?」
「古代の国全国共通ゲームであり、スキンシップ間違いなしカードゲームだ!」
「???すきんしっぷ・・・かあどげえむ?」
(やはりこの国ではそうなるか・・・よし、んじゃあ)
「今夜俺とじじいとメルーとリサと黒助の5人でうるおい屋集合ね。トランプで遊ぶ!!じゃあね~」
「こ、これ!健太待たんか!!ったく、手伝いもしないで・・・まぁええじゃろ!」
決してトランプをすることが楽しみなわけではない。謹慎処分となった今、自分の頭の中で何をしようか、何か良い考えはないか、何か面白い事はないか、何か作ってみようか、って考えたのがトランプであった。
このトランプ遊びで黒助とメルーが元気出てくれれば一番いいんだがな・・・
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