第82話 逆効果

 2人が良い感じになっている事に対し、何故か健太とイルグルは気に入らない様だ。健太はきよめ屋を出てハイムとメルーを探す。


(何処だ?奴らは一体どこへ行きやがった!!クソッ見失った・・・落ち着け・・・落ち着いて考えるんだ・・・もし俺がマキちゃんとデートするとすれば?まずは喫茶店に行って、その後ショッピング行ってランチして、その後映画を見てプリクラを撮って観覧車に乗って一番高いところでチューして夜の公園でニャンニャン・・・ハッいかん!!考えすぎた・・って事は今奴らはショッピングだな!!)


「んもぉおおお!健太君!!酷いじゃないですか!全て私のポイント使用なんて!?」


 バピラにはお金というシステムはない。その代わりがサインなのだ、各店でポイントがあり、そのポイントにサインして買い物や飲食をするのだ。勿論二人分した黒助は2倍のポイントを使用した事と、壊したテーブルもサインさせられた様だ。

 ポイントにサインばかりしていると、自分の持っているポイントが少なくなり、何も買えなくなってしまうと、貧乏人となってしまうが、仕事をすることにより、一日でその働き分程ポイントが付与されるといったシステムがバピラ3カ国共通である。


「たかが水1杯じゃないか!ケチケチするな!」


「そういう問題じゃないんですよおお!!」


「黒助よ、そんな事よりショッピングのオススメスポットに行くぞ。案内してくれ。」


「ニャ?ショッピング?」


「そうだ、奴らは絶対にそのショッピング店にいるはずだ。」




 健太はイルグルの案内によってラマ国第西エリアショッピング通りに付いた。人が多く、店がいっぱいだ!

 東京の原宿のミニバージョンって感じだろうか、健太の予想では、絶対にこの通りに拝読とメルーがいると予想した。


「そうだな・・・雑貨屋、俺なら雑貨屋で商品を物色する。

 黒助!!雑貨屋だ、雑貨屋を見つけたらその店を調べるんだ。いたら俺に教えるんだ!!」


「わかりました!」


 ラマ国の人口は約5万人、僅か5万人しかいないにも関わらず、この通りは意外にも人でいっぱいだ。


ハイムとメルーは本当にこの通りに・・・いた!!いた様だ、しかもどうやら雑貨屋にいる様だ。


「おい!黒助!いたぞ!あっちの雑貨屋だ!」


「わかりました。で、どうしますか?あの男?」


「暫く様子をみる。もし奴がやましい事をしそうになったら、俺が作ったこの爆竹をお見舞いしてやるのだ!足元に一つだけ投げつけるんだ。」


「ばくちく?わかりました。やってみます!」


 健太達は出来るだけ近づき、何を物色しているのかを調べてみる。どうもメルーはブローチアクセサリーを調べている様子そしてブローチアクセサリーをハイムが取り・・・店員に見せた。


(奴め、メルーに買ってやるつもりだな・・・まぁそれくらいなら許してやろう。この店ではやましい事はしないであろう、次だ次)


 次はすぐ隣のグッズ屋へと入っていく。しかし急に健太はトイレに行きたくなってしまった。おそらく先程のきよめ屋で、自分とイルグル用の水まで飲んでしまったからであろう。


「いいか、黒助!目を離すなよ!俺はちょっと向かい側の店でトイレを借りてくる。」


「わかりました。まかせてください!!」


 


(しかし俺はともかく、黒助のヤローまでも奴らに嫉妬しているのは以外だったぜ。)


そして健太がトイレから黒助の所に戻ろうと思っていた時に事件は起きたのだ。


パンパン、パパパパパパパパパパパンパン!!


(!!今の音は俺が黒助にあげた爆竹、あんのバカ、一つだけ投げつけろって言ったのに。

周りはかなり騒ついている。ハイムとメルー以外の国民にまで迷惑かけてしまった。


「なんだなんだ?」

「エルフが、エルフが来たのかしら?」

「上層部を大至急、誰か呼んでくれ〜!」

ザワザワ



「黒助!どうした!何があった!!」


「ううう、ごめんなさい、私の爆発的感情でつい全部投げちゃいました」


 健太は心の奥からため息が出た。まさか全部一気に投げつけるとは・・・


「だって、聞いて下さい!あの男とメルーちゃん、服を物色していて、同じ服を見て笑っていたんです!!あのまま行けば絶対にペアルックになってました!」


「そうかそうか・・・その結果があれか?」


「ンニャ?」


 健太が言ったその結果とは、爆竹をいっぱい使用した事により、メルーは驚きハイムに抱きつき泣いている。ハイムはメルーを守ろうと辺りを警戒している。

そしてハイムは辺りを見渡して発言した。


「皆さん!大丈夫です。私は上層部に所属するピクシーです。何かあっても必ず上層部の私が皆様を守ります。先程の爆発はおそらく敵の威嚇です。しかし私の阻止により最小限で済ませました。もう大丈夫ですよ〜。」


 なんてハイムは言っている。勿論適当な嘘をハイムはついている事を知っているのは健太とイルグルだけである。しかし・・・


「おお!上層部の方が!」

「阻止してくださったのね?さすがだわ♪」

「これなら安心して買い物出来るわねぇ」

ザワザワ


 ハイムの嘘発言とはいえ、国民は信じきっている。ある意味助かったが、ある意味失敗だ。


「メルーちゃん、行こう、ここは危険だ!」


「ヒックヒック、はい・・・」


ハイムは泣いているメルーに肩を回し、その場を去るのだった。まぁメルーの事だ、どうせウソ泣きだろうが・・・


「黒助よ、今の見たか?奴らの距離が大分縮まったんじゃないのか?」


「あああ!私とした事が〜〜〜!!」


ゴン!!


健太は何となく無意識にイルグルにゲンコツを落とすのであった。


「何するんですかー!!」


「うるさい!」




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