第80話 デート予定

 服屋で偶然出会った健太とハイム。丁度お互いのお腹もグルルルルと鳴り、お店に備えた流回矢るえしも間もなく3週目に入る。


お昼時だ。


 各エリアにうるおい屋はある。東エリアのうるおい屋でハイムと昼ご飯を食べに言行った。


「何ぃ〜、フクは新婚旅行?」


「そうだよ?だから今家に行っても結局はいなかったって事だね。」


 健太はロッヂの島でのフクの説教を思い出した。

【大切な仲間が命を奪われたらお前も死ぬのか?もし、お前が大人になり、何れは結婚し、パートナーの命を奪われてもそうやって怯えているのか?】

(なるほどな、感情昂る訳だ。

そういえば新婚だって行ってたな・・・まっ、人間の俺から見て雌猫の何処がいいのか知らんが。)


「なあ、ハイムはさ、謹慎処分になった今、何をして過ごす?何がしたい?」


「ん〜。私の場合は仕事以外の時間は大体する事が決まってるんだよね。今日も夜から西エリアのうるおい屋で合コン飲み会あるし、明日は中央エリアで1日中デートだし、明後日もそうだったし。えーっと次の日は・・・」


なんなんだこの人は・・・


「ああ、思い出した!確か健太のところのさ、ピクシーいるでしょ?、えっと確か名前が・・・」


「ん?メルーの事か?」


「あ、そうそう。メルーちゃんと明日はデートの予定だよ。」


「へー、メルーとねぇ。しかしハイムは、よくメルーとデートする気になったな〜」


なんて言うと、ハイムは少しムッとした顔つきになった。


「何言ってるんだ健太!ロッヂの島からグリフォンで帰っている最中に言ってたじゃん⁉︎」


 (へ?グリフォンで帰ってる最中に・・・えっと・・・思い出せ思い出せ・・・・・)


_______________________________


「ああ、疲れた〜、ねえ、フクー。ロッヂを闇の覇地から助ける事が出来ず、殺めてしまったから任務失敗になるよね?きっと。」


「そうだな、おそらく自宅待機みたいな処罰はあるから、覚悟しといたほうが良いぞ。」


「そっか、停学みたいな感じになるのかなあ〜。あ!そうだ!あのさ、ハイムにお願いがあるんだけど。」


「なんだい?今回は任務失敗だけれども、功績は素晴らしかったと思うよ?だから出来るだけその願い叶えてあげる。」


「そか、ありがとう!!実は、うちの研究所にいるピクシーの・・・」


_______________________________



「ああ、そうか!!思い出した!」


「でしょ?なんか逆に悪いねぇ健太、わざわざピクシーの女の子を紹介してくれたんだからさぁ。」


「いいんじゃない?メルー本人の強い希望だったし。ハイムのファンみたいだぜ?」


「ふ~~ん・・・私なんかのねぇ・・・まぁお礼だけは言っておこっか。」


 (ハイムはメルーからの噂によると、ピクシー族の中では超イケメンらしく、そして上層部国王補佐官というエリート級のピクシーの為、人気が高いらしい。そんなエリートとあのメルーが明日デートって・・・こっちまで気になってきたな・・・あのメルーがねぇ・・・あの酒豪メルーが・・・)


「さあて、ご飯も食べたし俺は先に帰るね~いろいろと合コンの準備しないといけないし。」


「ん、分かった、んじゃあまあ明日ね~~」


「ん?明日は健太に会うんじゃなくて、メルーちゃんとだよ?」


「あ、そうだったね、ごめんごめん、アハハハハ・・・」


(何言ってんだ俺・・・なんかハイムとメルーに嫉妬してるのか?)


 俺だって、俺だって・・・マキちゃんとデートしたいよ、とはいえマキちゃん今何処で何をしているんだろ・・・)


 幻獣を操り時空を越えて立ち去った事を知らない健太は、マキ=オースガはバドーム帝国より抜け出し、何処かで生きていると考えている。


 そんな事ばかり考えてしまった為、その日の一日はすぐに終わり、あっという間に次の日の朝になってしまった。



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