9章 ピクシーの春

第79話 退屈な謹慎処分

バッド王に謹慎処分と言われて2日目の朝、健太やハイム、フクは上層部に立ち入る事は出来ないでいた。


「 はぁ・・・・暇だな~~~なんせ謹慎処分だもんな~~~しかもまだ2日目かよ!

ああああ、暇だ暇だ・・・」


 研究所の応接スペースにあるソファで健太は横に寝転んで寛ぎながらブツブツと独り言の様に文句を言っていた。

 それには流石のメルーもイライラとしている様で・・・


「・・・あのね、健太、上層部で謹慎処分になったのはいいんだけど、研究所での仕事はたっぷりあるし、健太に頼みたい事っていっぱいあるのよ!!古代語一番理解してるのあんただしさ。暇なんだったら、少しは手伝・・・・あ!!いない!!逃げた!健太が逃げたわよ!!」


 健太から目を離して説明していたからこそ、スキを作られてしまったのだ。


ゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウオオオオオオオオオオ!!


研究所警報機が作動した。


 実はソファの裏側に身を隠しているだけの健太。


(警報機なんてあったのか?初めて聞いたぞ)


「どうしたの?メルーちゃん!!」


滅多に鳴らない警報を聞いてイルグルがやってきた。


「健太囚人が脱獄したわよ!!捕えなさい!!」


「そっとしといてあげなよ!健太君ずっと働きっぱなしだったんだからさ!」


「ならん!ならないわよ!さがせ~~~イルグル刑務官!!」


(やれやれ、こんな感じで謹慎処分を過ごさねばならないのか・・・しばらく外を散歩しよう。

 バッド王も立場ってもんがあるんだろうから、本当は謹慎処分なんかにしたくなかったんだろうけどもなー、でもバッド王よ、辛いぜ。

 それにしても暇だなー。うるおい屋に1人で行ってもつまらないしなー。あ!そうだ!フクだ!あいつも俺と同じだ!謹慎処分だから何処かにいる筈だ。遊びに行こう。)


 健太はタイミングを見計らい、今だ!と気付かれないタイミングを待ち、窓から脱獄した。






 フクの家は何処だ?東エリアとは聞いたことはあるから来ては見たが、初めての東エリアは健太1人では何にも出来ない。

仕方なく、聞き込みをしてみようと考えた。


「すいませーん。東エリアに在住している猫族、フクを探しているのですが?」


「ん?おお!外交官様じゃないですか!わざわざ東エリアまで如何されたのですか?」


「へ?いや・・・だからフク・・・」


「おーい!!みんな!!外交官様が東エリアにお見えになってるぞーー!!」


「ちょ!!」


そんな事を大声で言われると、誰だって注目はする。


「ええ!?あの人間の外交官様が?」

「何何?あ!いた!外交官様だ!」

「本当だ!初めて見たー!感激〜!」


ザワザワザワザワ


「な・・・なんなんだ一体・・・」





 握手した人60人、質問された回数40・・・疲れた・・・


「あーいたいた!!外交官様だ!」

「何!!あの人間の外交官様がここに?」


(ゲゲゲ!!まだ来るのか!!)


「外交官様、俺が叫んだばかりに!すみませんでした!」


「いや、俺はただフク・・・」


「わかってますとも!そこの道を真っ直ぐ進んで、突きあたりを左、そして3軒目が目的地ですよ⁉︎私はここで奴らを引きつけますので!」


「そうか!ありがとう!んじゃあ行くねー!」


「はいーーー!!頑張って下さ〜い!!」


健太は走った、言われた道を突きあたりまで走った。


ハァッハァッハァッ


 (疲れた、えっと突きあたりを左で3軒目だったな。えーっと、ここか!・・・あらら?)


「ん?はい、いらっしゃい!!」


(あんのヤロー!ここはフクの家じゃなくて服屋じゃねーか!!

 まぁ、せっかく来たんだ。ちょっと見ていくか。どれ、ハハハッ、猫族サイズ、ピクシーサイズ、トロルサイズまであるじゃん。

今着ている服も、ラマに来た時に支給された奴で大分ボロボロになってきたしなー。何か買っておくかな・・・)


ドン!


服を、見ていると。他の客とぶつかってしまった。


「あ、すいませ・・・」


「いえ。こちらこそ・・・」


「ハイム・・・」


「健太・・・」



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