第74話 凶剣と聖スティック

 健太は宣言した。バドーム帝国をぶっ潰すと。その言葉はロッヂに響くのだろうか。


 暫く沈黙となった。健太、フク、ハイムはロッヂの返答を待っている。3人共、(頼む!了承してくれ)といった顔つきであった。


 ロッヂは目をつむり考えている。そしてロッヂが出した答えは・・・


スゥゥウウウウ


 身につけていたロッヂの剣が夕陽で反射し眩しい。その剣を振りかぶり、攻撃しようとしている。


「答えは、ノーだ!」


ロッヂは健太をターゲットに絞った模様、健太から目を離さない。健太は慣れない魔力とスティックで応戦する覚悟を決めた。


「ロッヂ!武力で俺を倒すつもりなら、こっちにも考えがあるぞ!!」


 健太はもらった木のスティックを上に向け、天より一直線に俺に聖なる光が俺を照らす。


「な・・なに!!人間が魔法だと!?」


「健太・・・お前・・・一体・・・」


 ロッヂもフクも人間が魔法を使うところを初めて見るから驚いている。健太の光魔法を一度見ていたハイムも、間近で見るのは初めてだった。


「なぜ・・健太が・・魔法を・・?」


「ククククク、人間はずる賢い能力は持っている。その魔法は曲芸と見た!!死ねい!!」


ロッヂの剣が俺に向けられた、横切りをするつもりだ。


「愚かな!!」


パキ!!


いとも簡単にロッヂの剣は折れてしまった。


「この天から授かった聖なる光は、邪悪な心を持つお前にはどうすることも・・・多分出来ん!!」


「・・・ならば!!」


ロッヂは何か唱え始めた。魔法だ!その魔法に対しフクが言った。


「何!!長寿の実をあれ程食べると魔力は全く持たなくなるはずだが、こいつは・・・闇属性か!」


「え?闇属性?これはまずいな。健太!気をつけるんだ!集中だ!!集中さえしていれば、光属性の方が勝るはずだ!」


 ハイムのアドバイスはあったが、実際健太は不安でいっぱいだ。そしてロッヂの唱えが終わり、目の前に僅かな時空の窪みが出来た。そこの手を突っ込み何かを取り出した。


「ハァッハァッハァッハァッ・・・・ククク、俺もこの剣を使うのは初めてなんだがな、一度使ってみたかったのよ!!闇属性剣であるこの凶剣を!!」


「・・・・・」


(俺にそんなもの通用しないぞ!)って言おうとしたが、あえて止めた。ここで奴を更に逆上させるのは、隣で見ている子供に悪く感じるからだ。


「なに俺の息子をジロジロとみてやがるんだ!!」


凶剣が斜めに切りつけてくる。聖なる光は闇に呑まれた。


「なに!!」


「ククククク、ハァーーハッハッハッハ、人間よ、ここまでの様だな」


闇はそのまま天へと昇り始めた。


「これからの時代はこのロッヂ様がラマ国へ乗り込み、ロッヂ国と名前を変え、バドーム帝国の傘下に入る事と・・・あらら」


光が闇に呑まれたかに見えたが、再び光に包まれ始めた。


その現象を見たフクは何かを理解し、ロッヂに教える。


「ロッヂよ、魔力を殆ど持たないお前には魔法や魔力の剣を使う事は出来ないのだよ。つまり、どんな剣があろうがなかろうが、健太に勝つことは出来ないのだよ。」


「な・・・なぜだ!!なぜなんだ!!あの凶剣は無理を言ってバドーム帝国大臣様のアル=バード様から譲り受けた者なのに!!なぜだ!!!」


 ロッヂに焦りが出てきた。初めて使用する凶剣とはいえ、バドーム大臣が進めた最強の武器、そう思っていたからだ。健太はどうしてもロッヂに聞きたい事があった。


「ロッヂ、お前の子供にはかなりの傷がある。間違いなく大人からの虐待の傷だ!お前だな?自分の子に大岩投げたりしたのは!お前は子供に大岩を投げて遊ぶ様な事をしているが、なぜだ?」


「な・・・なんだよいきなり!!そんなの俺になかなか懐かないからつい腹が立ってやっちまっただけだ!!それがなんなんだよ!!」


「・・・・地獄に落ちろ!!レーザービーム!!」


「アガガガガガ・・・・・」


「と・・・父ちゃん・・・」


「・・・・少年よ・・・許せ・・・」



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『イテテテ・・・』


『よう、修一、塾行こうぜ?・・・嫌々だけど・・・』


『あ・・ああ・・・そうだな健太。』


『ゲ!ゲゲ!修一、どうしたんだよ!その怪我・・・まさかまたお前、おじちゃんに?』


『俺の親父は関係ないさ、さあ、行こう。』


『バッカ!おめえ、そんな、腫れた顔で塾行ったら皆んなの笑われ者だぜ?』


『いいんだよ!俺の事はほっといてくれ!』


『構成ロードショーとやらに相談しなよ!』


『バカ!厚生労働省だろ?それに児童相談所って言えよ、バカだなーやっぱり健太は』


『う、うるせ〜』


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