第71話 多勢に少数
ハイムに魔法を使う事が出来る経緯を健太は語った。まだ、余りコントロールが出来ない事、ラマ国肴祭りで魔力に目覚めた事、気付けば魔法でボ=ギールを倒していた事等を知っている限りを伝えた。
ハイムも、正気に戻ったフクも驚いた表情をしている。ハイムはニコッと笑いながら健太に言った。
「健太はもしかして救世主になれるかもね・・・」
しかし健太は救世主なんて興味はない。自分の周りが平和でさえあれば良い。
バピラ3カ国問題を完全解決した場合、自分自身どうなってるのか?ピカトーレンで生活してるのかな?それともラマで過ごしているのか?それとも元の時代に帰れるのか?
本当に救世主であれば、そんな事を想像してしまう。
「よし!健太、そろそろ行こう、日が暮れる。」
ハイムの言った日が暮れるに焦った、日が暮れると人間は不利になる。マキちゃんの時計を見ると、16:30を回っていた。第2太陽が沈むまで1時間30しかない。
「ねぇ、皆んな、ロッヂはどこにいるの?」
「・・・気を付けてください。このまま真っすぐ行ったあの奥で見える丘にある微かな狼煙、あそこがカズラの地であり、あそこにロッヂがいます。30人程ロッヂを慕う者がいます。長寿の実を使い荒れた連中ばかりです。恐らく武力での決着となるのではないかと思います。くれぐれもお気をつけて!!」
武力・・か・・・剣道でも柔道でもない、何にも知らない俺には無理か・・・まぁそこはいざとなればフクになんとかしてもらおう。
「では皆さん、ロッヂを説得してきますので、吉報を待っててください!!」
ぅぉおおおおおおぉ頑張れーー!!
がんばれーーー!!
絶対にラマ国に帰ろうね~~
声援に見送られ、健太とハイムとフクはカズラの地へと向かう。
★
集落を出て、15分過ぎただろうか、最後の砦、ロッヂの丘へとたどり着いた。
そこの集落は木で周りをバリケードしている様だ。そして門番が2人いる。長寿の実を毎日食べているのだろうか、かなり大きな猫2人が門番をしている。
とはいえ、俺達に躊躇いはなかった。
「何用だ?客人?」
門番の一人が問う。その問いに直ぐ様応えたのはフクであった。
「頭領のロッヂに会いに来た。」
まだフクはここに来て役に立っていない。面目を保とうとフクが先頭に立ち、リーダーシップを意識しているのが判る。
暫くフクに任せても良さそうだと健太とハイムは顔を見合わせて頷く。そしてフクが疲れたら健太はフクと交代して、トドメだけを自分で刺して活躍する。美味しいとこ取りって奴だ。
「ロッヂ様は今お昼寝をされている。お引き取り願おう。」
門番の単純な言い訳にフクが動じる訳がない。
「ダメだ!!頭領のロッヂに会いに来た。」
「ほほぅ、どうやら口で理解できないようだな。来な!俺が作った闘技場がある」
予想通り、武力の様だ。健太達は闘技場へと案内させられる。
「お~~いお前たち~~~闘技場を使用するらしぞ~~」
「お~~~?」
「なんだと~~~ひさしぶりじゃねぇか」
「俺の番も残しとけよ~~」
なんだこれは・・・3対30じゃないか・・・
闘技場へと移動する途中、
「貴様らラマからの使者と見た、どうやってここに来た?」
その質問に対し、フクは
「その答えを知る為に闘技場へと招待してくれたんじゃないのか?」
「・・・クククそれもそうだな。」
それにしてもゴツイ!猫族とはいえ、男と女もいるが全員がゴツイ!
こんなのとフクが戦って勝てるのか・・・
健太は自分の心臓を押さえると鼓動がすごい早い、緊張しているのか怯えているのか自分でもわからない。それに対し、ハイムはニコニコした表情で闘技場へと移動している。
(なんなんだよ、その余裕)
「ついたぞ!ここだ!」
ここが闘技場か・・・ってただの開けた平地の様だ、ここが彼らの闘技場なのだろう。
「さて、んじゃぁ30人一気にかかってこい!後悔しないうちに。」
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