第70話 健太の推測
木のスティックを我流で操り、フクを落ち着かせようと試みる。天高い光がフクを覆う、フクは苦しんでいたように感じたが、いつしか落ち着きそのまま気を失いその場で倒れた。
バタン
「ハァッハァッハァッ、なんだこれ!なんだこの魔法、めちゃめちゃ疲れる魔法じゃん!」
健太はドッと疲れが出た!フクの暴走を抑える事が出来たとはいえ、魔力を使い果たした気分だ。体力はある感じはするのだが、気が抜けたというか、魔力だろうか?なにか疲れを感じている。
(やっぱり俺って魔力を持つ魔法使いだったんだな・・・)
そう実感した。
とはいえ、いつもなら喜ぶが、魔力の使い果たした疲れ、今自分に置かれている状況を考えると、とても喜べる状況ではなかった。
「キノシタ様お見事でございます。」
「うん・・・それよりも、俺の推測だけど、たぶん分かったぜ。」
「??わかった?と申しますと?」
「長寿の実ってのはな、俺のリストではマタタビっていう実なんだ。ネコ科の種族にはドラッグみたいなものだ。」
「またたび・・・ですか・・・ネコ科?」
「8年前、バドーム帝国軍第3部隊長のボ=ギールはロッヂと接触し、そのマタタビを使用してラマ国を分断させ、ラマ国を老朽国と図ろうとしたんだ。
おそらく、ラマ王より強くなれる長寿の実がこの島にあるから採取したらどうだ?とか言ったんだろう。ロッヂもあんた達等を500人の仲間を集めて、帝国軍の船でこの島に移動、そしてこの島に皆放置されてしまった。」
「ボ=ギールめ・・・なんてむごい事を・・・・」
ハイムはフクにヒール魔法をしながら聞いていた。
「でも、恐らくボ=ギールの目的はそれだけではない。今でもロッヂはラマ王を狙ってラマ国を乗っ取ろうと考えている筈だ。ラマ王がもう、無くなっている事も知らずに・・・」
「なんですと!ラマ国王様は・・・もうお亡くなりになっていたのですか!・・・」
フクの騒ぎにより、あらゆる所から猫族が今の話を聞いていたみたいだ。15人はいるだろうか。
落ち込む者、泣き出す者といたが・・・
その状況を素早く対応したのはハイムであった。
「安心なされよ、今はラマ王の息子であるバッド様が国を治めてくださっている。バッド王の命により必ず貴方達を助けます!」
ハイムのこの言葉に猫族達は安心を取り戻したようだった。
「猫族の皆さん、食事をする時にあの実を入れて食べる事をやめていただきたい。あの実は興奮度を増し巨大化させ、凶暴化するという毒の実と思ってもらいたい。
そして約束します。ラマ国国王外交官である私、木下健太が必ずラマ国へ皆様を連れ戻す事を!!」
周りで拍手が起こる。
パチパチパチパチパチパチパチパチ
(ちょっとカッコよかったかな・・・俺・・・)
自分でキザな事を言って、自ら鳥肌が立ってしまう。
「キノシタ様、ありがとうございます。」
「いや、ちょっと言いにくいからさ、健太って呼んでよ」
「健太様、期待してますぞ!!」
(さて、魔力が戻ったらロッヂに接触する事とするかな。)
「健太、これを飲みな、魔力が回復するよ?」
ハイムに渡された小さな小瓶中が蒼く光っている。
ゴクッゴクッ
(ん~~~味がない・・・こんなので本当に魔力が回復するのだろうか、まぁ喉が渇いていたからいいけど。)
「サンキューハイム」
「へ?さんきゅう?」
「あ~~いやいや、なんでもない!ありがとう!!ハイム!!」
「どういたしまして!!・・・ってなんでいつも呼び捨てなんだ!!先輩だぞ!!」
「んまぁそんな事言わない言わない、ハイムはハイムじゃないか!!」
等と話をしている時、ついにフクの意識が復活した。
「お、フクが気が付いたぞ?」
「フク隊長、大丈夫?」
見るとまだボーーーっとしている。大丈夫だろうか
「あら?あら?私は一体??」
覚えていないようだった、ハイムも俺も、一体何があったのか?それを言うのは伏せておく事にした。
「ん~~~よく覚えてないけど、健太、君が弁当を忘れてきたのがいけなかったんだと思う。」
(なんとなく覚えているんじゃないのかこの猫は・・・まぁ忘れたんじゃなくて、フクの弁当まで食べてしまったんだがな・・・)
「ねぇ、健太、そろそろ詳しく教えてよ、なにその伝説の属性」
そうであった。出来れば魔力を隠し通すつもりであったが、今回の件ではそうはいきそうにない。なんせ光属性魔法とやらは伝説らしいから・・・
健太は深呼吸を行い、魔法を使える様になった経緯を話す事にした。
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