第63話 南西の大きな島。
南西方向に飛んで移動しているとすぐさま海、更にこのまま海を渡り大陸が見えたら恐らくそこがロッヂのいる島なんだろう。
グリフォンは風に乗り、そして俺達はグリフォンに乗り、南西の島へと向かう。
飛び立って20分は過ぎただろうか、小さな小島はいくつか見えるが、見る限り無人島だ。一体ロッヂの島はいつ着くのだろうか。
暫く移動していると、グリフォンを自分のものにしているフクが話しかけてきた。
「なあ、健太、山猫達の情報をもう一度確認するが、山猫族には頭領がいて、その頭領がロッヂっていう名前なんだな?」
「ああ、そうらしい。」
「そのロッヂは凶暴で、デカくて気が短い奴なんだな?」
「ああ、そうらしい。」
「そして一人ぼっちになるのは好きではないんだな?」
「ああ、そうらしい。」
「・・・・なんかムカつく・・・」
「ああ、そうらしい。」
このフクという部隊長は現在13歳、13年生きているって事は、人間の年齢で言うと26歳だ。
西地区の一般猫族と結婚したばかりの新婚と聞くが、現在国民全員が一つになっているこの機を優先し、新婚旅行を延期し、上層部の仕事をしているのだ。さすがに奥さんも反対はしないだろう・・・
一方このハイムというピクシーだが、ピクシー界では超イケメンで有名らしい。メルーはこのハイムを狙っているらしいが、ハイム自身はどう思っているのかは謎だ。ピクシーの寿命は平均なんと300歳。それでも18歳〜30歳で成人になるが個人に差があるらしい。
イルグル情報によれば、メルーは128歳、結婚に焦りを感じているらしい。ハイムはまだ30歳と聞くが、人間で言うとミソジと言われる歳だ。そんな長生きをするピクシーだが、幼少期の身体はデリケートで、少しの体調不良で命を落としやすい種族であり、ピクシー族の人口は徐々に減少傾向らしい。
しかし、ラマ国の環境を少しでも良い方向にする為に、蒼と紅のピクシーがお互い思いやりを持てる事になれば、人口減少問題も解決するとハイムは言っている。そんな事ははっきり言って健太には興味のない話ではあるのだが、外交官ともなると、そんな興味のない事にも顔を突っ込まなければならないのかと、健太は不安であった。
「お、健太!あれ大きな大陸だ、あれじゃないか?」
フクが言って指を指している場所に大きな島がある。
四国程ではない大きさだが、今までで一番大きく感じる島の様だ。
「流石に地球は一度崩壊している。四国なわけないか・・・あれがロッヂの島か、行こう。」
フクは高度を下げ、島に近づいていく。
やはり45億年経っているだけのことはある。この島は周りが浅瀬で覆われている。グレートバリアリーフのような珊瑚があるわけではないが、なんとなくだが住みやすそうな島だ。
健太は少し緊張してきたのか、ドキドキしていた。
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