第62話 鷲獅子

「お待たせ!バッド王。」


「来たか健太!今日はお前とフク、そして急で悪いんだが、ハイムも同行させてもらう事にした。」


 上層部に到着し、バッドの王室へと向かった健太は少し緊張気味。中には既にハイムとフクは待機していた。初めての外交官業務、上層部2人との仕事となると、足を引っ張るのではないかと心配になる。


「では再度説明をする。このラマ国よりはるか南の島に山猫族が生息している事は紛れもない真実だ。

我らの目的はその山猫族の力を貸してもらう事、ラマ国復興の為、山猫族とピカトーレン国と手を組み、バドーム帝国の圧力に負けない力をつける事。それの第一歩として健太よ!山猫族の力を借りに交渉してくるのだ!」


「あいよ!」


 健太はバッド王に敬礼して応える、そしてハイムとフクの方向に振り向いた。


「さ~て、いきますか、ハイム、フク。」


そう言うと健太に返答が来る。


「あのね健太、私もフク隊長も先輩。せめてハイムさんとかハイム様とかさ、フクさんとかいったらどうなんだい?」


「あ!そうだった!いっけね〜、俺サッカーの先輩達にも良く言われたんだよね〜それ。

気をつけるよ、ハイム!」


と、この調子である。


「・・・」


 ハイムはもう一言言おうとしたが、バッドが何やら言いたそうな顔をしていたので、控えた。


「木下健太、私の飼っているペットを紹介しよう。それで山猫族の島へ行けば良い、テラスで待っているがいい。」


バッド王はそのまま外へ出て行った。


(ペット?そういえばこの時代にきてからペットという言葉を初めて聞いた。まぁ俺の時代では国王、君たち猫や犬がペットなわけだが・・・)


 暫くすると、バッド王が連れて来たペットは、首輪をつけた獣だった。獣?なんだろう、上半身鳥で下半身が犬?羽が生えている?


「これは・・・鷲獅子じゅじし?」


「じゅじし?健太は面白い言葉をよく使う、我々はこのペットをグリフォンと呼ぶ。二人乗りまでだ、操縦はフクに任せる。」


 グリフォン!ゲームとかの世界で聞いたことがある!!まぁ鷲獅子もグリフォンではあるが、45億年後の未来でまさか実在する様になるとは流石の健太も思っていなかった。フクはさっそくグリフォンにまたがり、俺に後ろを乗れとジェスチャーする。フクの後ろ側に乗る。グリフォンの毛はクッションの様にモフモフしており、座り心地は非常に良い。


「それではバッド国王様、我ら3人南の島、山猫族との接触を実行してきます。成功するまで戻らない気持ちで対応しようと思っています。」


手綱を操りながらもバッド王に顔を向け、フクは一礼する。


「ああ、でも無理はするなよ、ダメそうなら時期を変えて再度挑めばよい。自分の命をより優先して任務に励んでくれ!」


「はは!!はいやぁあああ~」


 フクはグリフォンの手綱をコントロールし、健太達は空へ飛び立った。ハイムは自力で飛んでいく。


 健太はこれは気持ちいい。少し怖いが、鳥肌が立つ程感動する。上層部エリアを抜けると、中央エリアの上空を飛ぶ、真下には中央エリア集会所の周りには俺たちが飛び立つのを見ようと、かなりの猫族とピクシー、そしてトロルが手を振っていた。


「がんばれよーーーー!!!」


「ラマの運命はお前たちにかかってるんだぞ~~~~!!」

等と聞こえる。


「キャーーー!ハイム様~~今度飲みにいきましょ~~~」


 っと意外な言葉まで聞こえる・・・絶対メルーだと感じ、なんとなく自分が恥ずかしくなる健太。

しかしながら、手を振り笑顔で返すハイムの神対応・・・ハイムはきっと女タラシだと感じ始めるのだった。


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