第60話 過去の謎

「ハッ、イズミさん!!イズミさん!!しっかり~~!!」


「ルー、逃げ・・・メルー・・・つ・・たき・・・あな・・う・・・て・・・」


「イズミさん・・・う・・ううう・・・・」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ハッ・・・」


ラマ国研究所にはまだ働いている者がいた。


メルーだ。


 仕事中とはいえ、寝てしまい、頭をボリボリかいている。どうやらいつもの悪い夢を見ていた様だ。


「・・・イズミさん・・・」


 呟いたメルーはしゃがみ込み、顔を膝につけて見えない様にした。まるで、泣いているかの様に・・・



ギギギギーーーー・・・バタン



 研究所入口のドアが開き、そして閉まる音が聞こえた。


「む?灯りが、まだ誰かいる様じゃのう。」


シエルは長いこと歩いた為、腰を叩きながら杖置きに杖を置く。


「いるのは黒助じゃね?ったく、真面目に仕事なんかしやがって!」


健太も背負っていたリュックを下ろし、灯りの付いている研究室の入口を見ている。


「へぇ〜、ここが健太の仕事場なのね〜!?」


 っとリサは少しキョロキョロしながら言う。健太とシエルはそんなリサを見て・・・


「ハァアァァァァァァァァァ・・・」


と、2人してため息を吐いていた。


 3人は、そのまま研究室に入り、ソファーで一旦休憩する事に。


「あ、シエル様、健太、おかえりなさい!」


2人が帰って来た事を確認したメルーが声をかけた。


「う・・うむ・・」


「お・・おう・・」


ニコニコ

「おじゃましま〜〜〜す♪」


「あら、お客さん?いらっしゃい、ゆっくりしてい・・・」


 他国に無理矢理付いてきたリサはキョロキョロしていたが、聞き覚えのある声を聞き、メルーを見る。


 来客と判っていたが、ふと思えば人間でしかも聞き覚えの有る声を聞き、リサを見る


「エエエエエエエエエエ!!」


お互いが、声を上げる驚き、お互いが指を差し合い驚いた。


「あなた、何のつもりよ、なんでラマ国にいるのよ!?」


「あたしは決心したのよ!お父さんとお母さんの仇を討つってね!」


「そんな個人事情でこの研究所に入れると思ったら大間違いよ!」


「あら、でも猫のおじいちゃんが、大人しくしているならって、許可をもらったわよ?」


「シ〜エ〜ル様!!」


「ニャニャニャ!!」

ペコリ!ペコリ!!ペコリ!!!


 シエルは土下座してメルーに謝った。

そして何となく、次には俺が怒られる!っと

思った健太も後々一緒になって土下座した。





 一行はイルグルを合流させて場所を変え、うるおい屋に変わったいた。流回矢るえしは間もなく明日を迎える、健太の時計も23:30になっていた。

メルーはまだ少し不機嫌そうに黙々と飲んでいる。


「とにかくじゃな、お嬢ちゃんはワシがとりあえず預かる!面倒はワシが見る!だからのうメルー、許してくれんかのう・・・」


「おい、リサ!?お前も少しは気を使えよ、そんな図々しい態度だと、俺にまで人間性を疑われてしまうからよう・・・」


「考えておくわ〜」

と、太々しい態度をとるリサ。


(健太君、なんなんですか?このリサって子!健太君より失礼じゃないですか!)


(んだと黒助!俺よりってどう言う意味だコラ!)


 小声で話す健太とイルグルの事を全く気にもせず、メルーは飲み干すとコップ樽を、


ドン!!


強くテーブルに置いた。


「もう、過ぎた事をクヨクヨするのは、あたし好きじゃないし、もういいわよ!シエル様が面倒見るって言ってる事だし!好きにしなさい!」


「お、おおお・・すまんのうメルー」

目を輝かせて喜ぶシエル


「メルーちゃん!」

実はどちらでも良いイルグル


「メルーおねーたま♪」

実はふざけている健太


「あ、ありがと・・・」

実はありがとうとあんまり言った事無いリサ


 しかし4人の行動を無視し、そのまま窓から飛び去って言った。


「メルーの野郎、食い逃げしやがって・・・」


健太はメルーの態度に少し落胆したが・・・


「健太よ、メルーを許してやれい、恐らく思い出したくない過去を思い出してしまったんじゃろうて」


「???そか・・・」


 メルーも、そしてシエルも一体何を言っているのか健太には分からなかった。


しかしメルーには、酷い過去がある事は、健太もイルグルも、勿論リサも今は知らないのだった。

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