第56話 シュケルへの取材

 俺の名前は木下健太、どこにでもいる高校生・・・ではなく、少し変わった人間だ。

人間は戦闘において戦うタイプではない。力が弱いんだ。しかし、知能は高い。だからその知恵を活かして考えられたのがレンジャーの能力さ。


 レンジャーの修行は6歳になってから教養マーズで始まる。修行は10年と定められているが、俺は12歳からレンジャーの能力を学び始めた。

その時点で周りのマーズ仲間達と既に実力差ができていた。なんせ俺が始めた当初、既に同級生達はレンジャー経験6年だからな。


 そんな経験に差があるにも、マーズの師範や同級生達は俺を馬鹿にしていた。いつまで経っても成長しないお荷物だってさ。


 そう、俺は・・・マーズでいじめられていたんだ・・・


でも俺はそんな事で落ち込むタイプじゃない。それにマーズには、ウルフ族やリザードマン達の友達がいるからさ!それにリサは人間でただ1人、俺を庇ってくれる人間でもあった。


 同種には嫌われ、イジメの対象だったが、異種には人気があった。なんせバカばっかりして皆んなを笑わせていたからな。



 今日は久しぶりにシュールの施設に行く事となった。まぁ、里帰りみたいなものだけど、シュケルのジジイに用事が出来たからだ。

 リサは置いといて、他の皆に会えるのは楽しみだ。




「健太よ、ラマはどうじゃ?」


「ああ、順調だ!」


 久しぶりに会う健太に、シュケルは頭を撫でる。さすがの健太も照れている。


ガサササ!!


「健太君、色々とお話聞かせてください〜」


「ブワーーーーー! ???なんだ!ラルフか?相変わらずどこからか湧き出て・・・」


ガリ勉ラルフが茂みから健太を驚かせる。


「アハハハハハ」


 そんな再会をしていると、後ろからゆっくり歩きついた1人の猫がいた。


「健太よ、何をしている。お前には余り時間がないのじゃぞ!」


 シエルのじじいがやっと追いついてきた。

シュケルはシエルを見た途端、目つきが変わる。まるで、嫌な奴が来た!っと言う顔つきだ。


「シエルのクソじじい!健太と何用だ?旅行か?」


「わざわざこんな近くに旅行するわけなかろう、シュケルのクソじじいに聞きたい事が健太があるからと、わざわざピカトーレンまで来たのじゃ」


「クソじじいクソじじいと、相変わらずやかましい奴よのう」


「お主が、はじめに言い出したんじゃろうが!!」


「ウヌヌヌヌヌヌヌ!!」


「ウニャーーーーゴ!!」


予想はしていたがまた始まった。と思う健太。

(このじじい共も変わらんな・・・)


 懐かしきシュールの施設に入った。久しぶりの顔ぶれ達と暫く話をした・・・しかしそこにはリサの姿はなかった。

そんな時、シエルから再度声をかけられた。


「健太よ、そろそろシュケルのクソじじいから話しを聞いて、ラマ国に戻らねばならぬ時間じゃぞ。」


「おっと!そうだな、実は施設長、聞きたい事があって来たんだ。」


「聞きたい事?」


「あ、待ってくれ、すまんお前ら。ちょっとじじい共2人と俺の3人だけで話をさせてくれないか?」


「なんだよー仲間外れはよくないよー!」


「んだんだ?」


「すまねえな、マルス、ノーラ。


さあさあ、お前らも自分の部屋に行け、ほら、出てった出てった!」


皆が残念そうに出て行く。そして3人になった。

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