第40話 贈り物

 まさか、1000年間のネイとルカの子であるマキが、時空を操る幻獣の力を身につけているのを目の前でシエル達は目撃してしまった。


 未だシエル身体全身が震えている。何故震えているのか?それはシエル自身わからなかった。恐怖?いや、緊張?いや。恐らく衝撃的な信じられない事実を知ってしまった事が、シエルの身体に衝撃を与えてしまったのであろう。


「それにしても、健太まだのびてるの?何にも収穫ないじゃない!!」


メルーはシエルやイルグルと違い、欲が深く、この古代遺跡探索も、宝探し気分だったのは間違いない。


「いい加減起きなさい!!エイ!!」


メルーは持っているスティックで健太を叩く


「いって~~~~!!何するんだ!!メルー!!」


「し~ご~と~しなさい!!」


「仕事だぁ??ハッ!!マキちゃん!!マキちゃんは??」


「へ?さっきの娘?さっきの娘はねぇ・・・」


「メルーよ・・・」


シエルはメルーに対し首を振った。


「へ??何何??マキちゃんは?俺はマキちゃんに言わなきゃいけない事がいっぱいあるんだ~~~!!

おお~~~~~い!!マキちゃ~~~~~ん!!」


「やかましいわ!!」


健太は、またまたメルーのスティックで叩かれる。


「だから、なんなんだよ!!痛ったいなあ!!」


「少しは静かにしなさいよ!!だいたいね、あの娘は・・・・ん?健太、あんたの左腕何つけてるの?」


「ああん?左腕がなんだってんだよ!!ん?・・・これって・・・俺がマキちゃんあげた腕時計・・・。」


「うわ~~~それステキ!!ちょっと健太!!それよこしなさいよ!!」


「バカ言うな!!これは俺のじゃない!!マキちゃんのだ!!」


「ま~~だそんな事言ってるの!?」


じゃれ合う健太とメルーを見て、やっと震えが止まったシエルは健太に聞いてみた。


「ところで健太よ、お主どうやってリュミエールクロスを使ったのじゃ?」


「なに?りゅみええるくろす?」


健太は初めて聞く言葉にまばたきを何度もしながら聞き返した。


 その健太の仕草を見たイルグルの判断は

・・・


「・・・師匠、やっぱりマグレでしょうかね・・・・」


「うむ・・・」


「健太君、なんか口になんか傷がついてます?一部色が違うような・・・」


「へ?なめてりゃすぐに元通りさ。」


その傷を見ていたメルーが近づき、じっと見る。


「こ・・・これって!!・・・」


「な・・・なんだ!!大怪我してるのか?俺??」


「いや・・・たんなるかすり傷だった。」


「なんだよ~~!焦らせるなよ、メルー!!」


 (いや、だって健太についているのって・・・かすり傷でもなんでもなく・・・女の私ならわかる。あれって、女が使用する口紅だもん。まさかあのエルフ・・本当に健太の事・・・)



第6章 外交任命へ続く

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