第38話 マキ=オースガの想い

 快晴と言われる日は外へ出かけると気持ちが良い。

 ここ、バピラ湖では天気が良く、空気が澄んで気持ちが良い。

 イルグルは釣りを楽しみ、シエルは野原でお昼寝を楽しんでいた。


ドドーーーーーーーーーーーーン!!


「ンニャーーーー!!」「ム?なんじゃ?」


 大きな音に、イルグルは驚き、シエルは昼寝を中断した。


「し、師匠、あれは!?」


イルグルが指差す場所には・・・


「な・・・あれはリュミエールクロス!!」


「なんですか?リュミエールクロスって?」


「むぅ、強烈な魔法と強烈な魔法がぶつかり合い、稀に出来る光景じゃ、同属性同士で共鳴したんじゃろ。しかし湖の底からの様じゃわい。」


「師匠、まさか、メルーちゃんが・・・」


「いやいや、メルーは治癒魔法系じゃからのぅ、そんな魔法はないじゃろ。」


「・・・じゃあ・・・健太君が!?」


「むぅ・・・わからぬ・・・」





 健太とメルーのいた会館は崩壊していた。一体何があったのだろうか。


 健太は気を失って倒れていた。ボ=ギールは瓦礫に顔を埋め、両足だけが確認出来るがピクピクしている。メルーは意識はあるものの、仰向けに倒れていた。


 しかし、マキ=オースガは、普通に立っており、健太を心配そうに見つめていた。


『け・・けん・・た・・きの・・した・・』


 マキ=オースガはそのまま座り込み、健太の頭を抱え、自分の膝へとゆっくりと添えた。


『健太・・君・・ごめん・・ね・・』



『あの、マキちゃんだよね?俺は隣の芦田小学校4年生の木下健太って言います。よろしく!』


『あっ、マキちゃん、また会えたね!俺さ、サッカー始めたんだ!』


『マキちゃん!俺、木下健太は、大須賀真希が好きであります!』


『マキちゃん!どんなお菓子が好き?今日はか〜ちゃんから1,000円貰ったからさ!何か買ってあげるよ!』


『マキちゃんのチームのコーチから聞いたんだけど、マキちゃん今日誕生日なんでしょ?

はい、お誕生日おめでとう!これ、時計だからさ!つけてねー♪』


『ええ!バレンタインチョコを俺に?ヒャッホイ!ありがとう!マキちゃん大好き!!』


『マキちゃんあのさ・・』『マキちゃん実はね・・』『マキちゃん』『マキちゃん』『マキちゃん』



『ありがとう、健太君。お陰様で闇の呪いから解放されちゃった。もう意識ははっきりだよ?1000年前の故郷時代やこの時代バピラから追放されて日本にダークルカンで飛ばされてからは、裕福な里親に拾われたけど、いつもあなたが声をかけてくれていた。初めは迷惑と思っていたけど、段々とあなたを本当は・・・

 あっ!時計ありがとう。お礼を言えなかったけど、やっと言えたよ。でもね、この時計は返すね。健太君にはきっとこの時計が必要になる筈だから・・・

 もう・・私に時間がないみたい。エルフのお父さんと人間のお母さんのいる世界に行かなくちゃ。』


第39話 マキの正体につづく

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