第35話 俺が守る
(いや、待てよ、そういえばマキちゃん、いつも会う度に耳当て、ニット帽をしてた・・・それってまさかエルフ特徴の耳を隠す為!)
「マキちゃん!覚えてるか?俺だ!健太だ!」
「け?・・・んた?」
マキ=オースガは健太の質問に答えた。はっきり答えたわけではないが、聞こえている事がわかる
「健太とか言ったなクソガキよ、貴様、その女エルフなんかに興味を示すとは・・物好きなよのぅ。」
人を見下すような態度、言い方を露わにボ=ギールは続けて話し始める。
「我が大臣、アル=バード様は素晴らしき不思議な力を持っておる。しかしその力を阻止する不思議な力を持つ者がいる。それがこのマキ=オースガなのだ!」
力と力の違いを比較し、一つを捨てている、それがバドームのやり方と認識した健太は苛立ちが湧いてきた。
「ふざけるな!同じ種族なら不思議な力と不思議な力を両立できる努力をしろよ!努力もしないでマキちゃんの力を無駄にするな!!」
健太は怒った。しかし怒ったとはいえ、何故怒ったのか自分でもわからない。ただボ=ギールに対し、本能で苛立ちがあった。
「クックック、いずれにせよそいつはアル=バード様の力により、時空を越えさせた存在、少し手違いで戻って来た様だが、もうバピラのエルフではない。」
時空を越えた?戻って来た?その発言に健太はダークルカンを思い出した。
おそらくダークルカンはこのエルフが知っている、ダークルカンの情報を少しでも聞き出さなければ!
「おい!まさかダークルカンはそのアル=・・・」
健太がダークルカンと言葉にした瞬間、ボ=ギールは健太に近づき、右手で首を締め上げる。
「グググググ・・・」
「余計な事を考えるなよ、小僧!その言葉を何処のマーズで教わったのかは知らんが、貴様らは我が帝国民の言う事だけに従えばいいのだ!わかったか!」
そう言い放つと右手を振り払う様に離した。
「ゲホッゲホッゲホッ!」
「っちぃ、気分が悪い!マキ=オースガよ、もうこのガキを始末してしまえ!」
「は・・・い・・・」
マキ=オースガは両手を上に上げた。何をするつもりなのか?詠唱をし始める。
「マ、マキちゃん!目を覚ませ!!俺だ!健太だよ!」
「・・・・・」
マキ=オースガは無言で詠唱し、魔力を高めている。
「健太!この魔力、かなり危ないわよ!逃げるしかないわ!」
「メルー、お前は先に逃げていろ!俺はマキちゃんを、助ける!」
「何言ってるのよバカ!エルフじゃないのよ!しかも敵意剥き出しにしてるじゃない!」
「なんとかする!マキちゃんは、俺が、俺が守る!!」
第36話 通じる言葉につづく
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