第34話 バピラの仕組み
ポタリ ポタリ
健太から何やら赤い液体が落ちている。
血だ。
健太は蹴られた腹と、その衝撃で地面に顔を叩きつけられた。どうやらその時に鼻を怪我したみたいだ。
健太はよろけながらも立ち上がり、ボ=ギールを睨みつける。
「何だ?クソガキが!まさかこのボ=ギール様に文句があるわけではあるまいなぁ!?」
健太はボ=ギールと女エルフを見て不思議だった。女エルフはビュルドローを一切していないが、ボ=ギールは健太と同じビュルドローをしている。
明らかに女エルフの方はおかしいと感じる健太。それを悟ったのか、ボ=ギールは話し始めた。
「小僧、この女が気になるか?クックック、この女はなあ、不思議な力を持っていてな、その力は我が帝国に災をもたらす極悪人、死に値する。しかしこの女はその不思議な力を使用し逃げた。こやつの名前は・・・」
(なんだ?一体何を話しているんだ?同じ種族同士でも仲間じゃないのか?)
「待ちなさいよ!よくも健太に怪我をさせたわね!」
ボ=ギールを挟み、向かい側にいたメルーは何やら両手で魔力を高めて威嚇した。それによりボ=ギールのターゲットが健太からメルーへと変わる。
「クックック、我がバドーム国民に対し、逆らうつもりか?その努力だけは認めてやろう。」
「何が努力よ!あんたもねぇ、アタシの不意打ち攻撃を喰らいなさ・・・・」
「待て待て待て!!!」
ボ=ギールはメルーの攻撃前に待ったをかける。
「ピクシーの女よ、貴様はどうもわかっていないようだな。このボ=ギール様に攻撃を仕掛けるという事は、死罪に値すると言う事に。」
健太はさっきからボ=ギールの発言や、女エルフの事等何一つ理解できなかった。そこで直接聞いてみる事にした。
「な、なあ、ボ=ギール、死罪?つまり死刑っ事か?死刑にしたくないから、わざわざメルーの攻撃をやめさせたのか?」
「ボ=ギール様だろ!?バピラにはマーズがあり、そこで世の中の事を学ぶが、小僧!貴様は何も学んでいない様だな。」
そう言うとボ=ギールは健太とメルーから少し距離をとり、再び話し始めた。
「我が帝国、バドームは少しづつ少しづつ領土を拡大しつつある。それは何故か判るか!?バピラを大きくし、発展させ、裕福な暮らしをする為である。」
「領土拡大したらピカトーレンもラマもその分小さくなるじゃねーか?」
「バカか!バピラ以外の領地を侵略し、拡大するのが我が大臣、アル=バード様のお考えだ!その為に大臣は軍略帝国制度をお考えになったのだ。」
「軍略帝国制度?なんだそれ?」
「小僧!本当に貴様は頭が悪い様だな、我がバドーム帝国民は全員戦う兵士となる。そうなると食糧や薬、衣類等の生活雑品が
「じゃあ食い物をお前達にあげなかったら餓死しちゃうんじゃないのか?」
「クックック、だから貴様はバカだと言ったんだ!そんな事になってみろ!バドーム帝国全軍が一気に貴様らの国を滅ぼしてやるわ!」
健太はアル=バードとの話でシエルとシュケルの会話を思い出した。"ピカトーレンとラマが再び一つに"その理由としてはバドーム帝国から国を守る事が理由の一つと知った。
健太はボ=ギールに対し、怖さと怒りを持つが勇気を出して言った。
「軍略帝国制度だかなんだか知らないが、全て上手くいくなんて思うなよ!アル=バード!!ぜ〜〜〜〜〜〜ったいにピカトーレンとラマは貴様らの国に二度と支援はせん!俺がピカトーレンとラマ国の天皇陛下達にそう提案してやる!」
「なんだと〜!?貴様にそんな権利があるのか?てんのうへいか?わけのわからぬ事を!」
健太の発言にイラッとしたボ=ギールだがそこで意外な人物が・・・
「クスクス、クスクス、ウフフフフ」
女エルフだ、健太とボ=ギールの話しで笑ったのだろうか?
「何がおかしい!マキ=オースガ、貴様は静かにしていろ!!」
ボ=ギールは、マキ=オースガと言われた女エルフに対し、何度も蹴りをする。女エルフはうずくまり固まってしまう。
「やめろ!!」
健太は条件反射だろうか、身体が勢いよくボ=ギールに向かい、強烈なドロップキックをお見舞いした。
ドン!!
「ノワ!!」
勢いよく奥の壁まで飛んでいく。
ズザザザザ!!
「お、おい、大丈夫か?マキ=オースガとやら!」
「う・・・」
健太は女エルフを、庇うが・・・
「な!マ・・・マキ・・・ちゃん?何故・・・」
健太は驚いた、やはり女エルフは健太の知るマキであった。
(マキ=オースガ・・・ハッ!!大須賀真希、やはりマキちゃんだったのか!でも何故だ、何故この時代にいるんだ?何故エルフなんだ?)
第35話 俺が守るにつづく
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