第29話 バピラ湖の歴史

 ラマ国の肴の休日で古代黒魚ブラックバスを釣り上げた健太は、人間ではありえない魔力の持ち主と言う事が判明した。しかも光を操る事の出来る伝説の光属性、この事を知るのはシエル、イルグル、メルー、そして健太本人だけである。

 そして、釣りをしていた健太が見つけたバピラ湖に沈む街、ここに調査に向かう一向。又、シエルが話した1000年前の話と一体どういった繋がりがあるのだろうか。





[「ハッ、イズミさん!!イズミさん!!しっかり~~!!」

「ルー、逃げ・・・メルー・・・つ・・たき・・・あな・・う・・・て・・・」

「イズミさん・・・う・・ううう・・・・」]


「ハッ!」


 誰よりも早く目的地に到着したメルーは、膝下までは湖の水に浸け、身体は野原で仰向けになりリラックスしていた。

 とはいえ、天気も良く、ついつい寝てしまった様だが・・・


「・・・ハァ、またあの時の事を・・・」


 メルーはメルーで何かを抱えている様子、何故抱えているのかは、もう少しだけ先の話。


「あれ?メルーちゃんだけ?師匠と健太君はまだなんだねー。」


「あらイー、一緒に来なかったのね。まぁ、いいわ、シエル様が来たら直ぐに作業に取り掛かる準備をするわよ?イーも手伝いなさい。」


「も、勿論だよメルーちゃん!」


メルーとイルグルは作業に取り掛かった。





「で?今から行く所が1000年前の遺跡って事か?」


 おかしい、何かおかしいと健太は歩きながら考えた。


「うむ、ネイとルカは幸せに暮らす筈だったんじゃ。2人の間にも子供を授かったしのう。」


「ェェエエ!人間とエルフの間で子供?」


健太は色々な事を想像してしまう。

(エルフ、人間、まぁ、エルフも人間みたいな者だもんな・・・あ!もしかして人間と猫族の子供とかが実際いるんじゃ・・・)

変な想像をしてしまい、健太は背中に鳥肌が立ち、寒気がしてきた。


「ハワワワワワワ!」


「ん?健太よ、大丈夫か?」


「あ・・・ああ、すまねえ」


「・・・しかしのう、ネイとルカの幸せは長くは続かなかった。エルフの追手により、バピラ湖付近で暮らしている2人を発見されてしまうのじゃ、

 ネイとルカは考えた、せめて子供だけでも助けたい!とな。」


「で、子供を隠して戦って死んだってお話なわけね。」


「ん〜まあそういう事なんじゃが、2人は反逆者と考えられ、死刑宣告されていた。ネイは戦った。勿論ルカも戦った。人間のルカなんじゃが・・・人間ながらにして光属性の魔法を扱う事が出来たのじゃ!」


「光属性!?俺と一緒じゃないか!」


「その通り、1000人程いたエルフ達をルカは戦い、絶滅させた。しかし、喜びはなかった、戦いの最中で既にネイは亡くなってしまったのじゃ。」


 ここまでを聞いた健太はあまり興味がない話と思っていたが、今はシエルの話が気になって仕方がない様だ。


「つまり、ルカは魔法で戦い抜いたって事なんだな?あら?何かおかしいと思っていたんだけど、なんで俺にそんな話をするんだ?もしかして光魔法の事を俺に?」


「・・・まぁそれもあるんじゃが、ワシがなぜこんな話をしたのかは、また別の理由じゃ」


「・・・はああ?なんなんだよじじい、教えてくれよ。」


「さっきも質問したが健太よ、マキちゃんって誰ぞ?お主がボーっとしていたり妄想してる時に良く口にする言葉。」


「いや、マキちゃんはまったく関係ない俺の時代の彼女候補の子だ。」


「・・・ネイとルカの子は・・・マキって言うんじゃよ」


「な・・・なんだと!!」

(いや、でも絶対にありえない!大体マキって名前や俺の健太って名前なんて俺らの時代にはいっぱいいるしよう。)


第30話 ビュルドローに続く



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