5章 幽霊からの贈り物

第27話 魔法発動の挑戦

「た・・・助けて・・・」


「え?」


「お願い・・・助けて・・・」


「ど・・・どこにいる?」


「・・・深く重たく・・・暗いところ・・」


「え?それだけじゃちょっと・・・」


「あなたを・・・知ってる・・・健太君でしょ!?」


「へ?」


「あなたなら・・きっと・・・私と同じ力があるのなら・・・」




ガバ!!


 ゆ・・・夢か・・・


 おかしい、毎日毎日この夢を見る。

何か変な物を食ったのか?変な物を装備して呪われてしまったか?

一体俺はいつまでこの呪いの夢を見なければいけないのだ・・・





ムニャムニャ


「健太君!そろそろ起きてください!」


「ん~~~ムニャムニャ」


「健太君!いい加減にしてください!研究所へ遅刻しますよ!」


「ん~~黒助~~朝っぱらからうるさいな~~!」


「何を言ってるんですか!健太君夜は私より早く寝て、朝は私より遅く起きるのに、何で起きれないのですか!!」


「俺・・・人間だから・・・ガク・・・ムニャムニャ」


「・・・・・健太くん・・・」


【土の精霊よ、我に力を与えまえ、タンペットサーブル!!】


ウギャーーーーーーーーー


 痛テテテテ、ったく黒助の奴め、まさか魔法で起こしやがるとは・・・下手したら死んじゃうな・・・

やばいやばい、マジで遅刻しそうだ、急ごう。





「おはよう!じじい!いやーー滑り込みだけどセーーーフ!!」


既に仕事を始めていたシエルとメルー。そこへ健太がやって来た。


「うむ、おはよう健・・・お主・・・霧砂嵐を喰らったようじゃな・・・」


「あ・・・わかる?ったく酷いんだぜ!黒助の奴。」


 シエルはほんの少し間が空いたが、そのまま軽いため息をした後、話し始めた。


「健太よ、ワシとイルグルの付き合いは長い。あいつは優しい子じゃ、アイツが怒る事はよほどの事がない限りないぞよ。」


「ああ・・・悪かったって思ってるよ!!」


「あまりイルグルを怒らせるでないぞ?怒った時の奴は魔力コントロールが出来ず暴走してしまうからのぅ。」


 じじいの言う通りかもしれない。黒助はいつも助けてくれるし俺の世話を嫌な顔一つせずしてくれる。

 人間の奴隷を捕えているという肩書きでこの国にいるとはいえ、ここまで待遇が良いとあとあとでしっぺ返しがきてもおかしくないかもしれない。

 ウルフのリョウという相棒とは全く違うタイプだが、俺が黒助の生活リズムを崩しているかもしれないな・・・俺は少しは反省しないといけない・・・


と、そんな事を斜め上を向き、考え事をし始めた健太。


そこにシエルが・・・


「ところで健太よ。」


「お?」


「あれからどうじゃ、魔力の方は」


「ぜ~~んぜん、本当に俺に魔力があるの?って言うくらいな~~んにも・・・」


「今ここで何か飛び魔法をワシに出してみろ」


シエルは健太に魔法発動を求めると、メルーから反対意見が?


「!!いけませんシエル様!!もしもの事があってはいけません!!う~~~ん、あ、あれだ!健太、あの天井に雨漏りのシミが見えるでしょ?あれに向かって飛び魔法をやってみなさい!」


「・・・・わかった・・・でも何も起こらなくても、絶対に笑うなよ~~~!!」


(俺に・・・本当に・・・魔力なんてあるのか・・・よし!試してやるぜ!!

 まずは集中・・・目標は・・・あの天井のシミ、ターゲットをよく見るんだ!

次に右手に魔力を集中させる。集中集中!よし!今だ!!)


【光属性に宿る我が力よ!レーザービーーーム】


「ハァアアアア!」


シーーーーン


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「ニャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」


「あははははは!何今の、何今のあはははは、何が光属性に宿る我が力よ、アハハハハ」


「健太よ、お主ただ単に力んでいるだけじゃぞ!ニャハハハハ」


気づけは俺は顔が真っ赤だった。それはそうだ、こんな恥ずかしい思いをしたのは生まれて初めてだ、な~にやってんだ俺は・・・


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