第22話 大物は何処だ?

 健太はピカトーレンとラマ国の国境の川を歩いている。勿論ところどころで釣り猫、釣りトロルは見かけるが、驚くのは稀に釣りピクシーがいる事だ。本当にあの小さな身体で釣れるのだろうか。


 ピクシーやトロルが釣っているところを見ると、ピクシーは魔力を使わないと釣り上げる力がないだろうし、トロルの知恵では釣りは難しいだろう。ドズラくらいの会話ができるトロルならできるかもしれないが・・・って思っていたら、大きな地響きが聞こえた。


ドドン!!


「やっだ!!ザンメードル級だで!」


 どうやら、トロルが3メートル級の魚を釣ったみたいだが・・・よく見るとドズラだ。


「ぉおぉ、げんたー、おで、やったど~!ごんがいのゆうじょうは、だいかいはづのゆうじょう、どろるのどずらざまだ~~~~!!」


 (興奮しているのはいいんだが、何をいっているのか分からん!あれじゃぁ審査で本当に釣ったのかどうか問われたりした時に説明できそうにないな・・・トロルに優勝は無理かもしれないな・・・)


 この辺で釣りをしようと思ったが、ドズラがうるさそうだから魚が逃げる気がして、健太は更に川を上流する事にした。





 上流を目指すと、大きく開けた川へと到着した。どうやらラマ国所有の貯め池の様だ。この溜め池こそ、ラマ国農作物を必要とする源の水。その源の水の場所にはきっと池の主がいるはず


よし、ここで釣りを・・・と、考えた健太だが。


ドドドーーーーン!!


「ん?なんだなんだ?」


「フフッ3連覇はいただきです。」


「む、その声は・・・」


「あら?健太君一足遅かったですねぇ、見てください。この池の主は5メートル級です。もう、優勝間違いありません。残念でしたねぇ」


「く…黒助・・・」


 (今思えば俺はまだ釣りをしていないじゃないか!それに・・・2メートルだの3メートルだの5メートルの魚なんて釣ったことないわ!この肴祭りの競技は・・・諦めて自分だけで楽しめるルアーフィッシングを楽しもう。)


 イルグルのいた溜め池から更に上流にいつの間にか来ているが、ここは・・・バピラ3か国それぞれの国境を結ぶチャント高原のバピラ湖、こんなところまで歩いて来ていた様子・・・流回矢るえしはすでに2周と半ってことは、あと3時間ってところだ。


 (よし!とりあえずここで釣ろう、目標は50センチのブラックバスだ!

 しかし、驚いたぜ、釣りの参加者は針にミミズのような生き物だけであんな大物釣るんだからなぁ。

 もしかして、この時代はルアーフィッシングは通用しない?まぁいい、それも今から検証してみよう。)


 ここでやっと健太は釣りをするポイントを見つけたのであった。





(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・釣れない・・・時間でいうと後30分しかないようだが・・・・ダメだ!きっとこの湖にはブラックバスなんていな・・・)


!!!!


いきなり両手で持っていた竿が重くなった。


「き・・キターーー!!」



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