第19話 人間の能力
イルグルが"人間を奴隷に"と、ラマ国上層部に言ってしまった事で、ちょっと複雑な気持ちになってしまった健太。今後の展開で、生き抜いていく事ができるのであろうか。
上層部関係者が去った後も、シエルとイルグルは2冊の本と睨めっこしていた。
「健太君、この本にクルマと言われる乗り物が出てくるのですが、どんな乗り物なんですか?」
「健太よ、こっちの本にはびーるという酒がある様じゃ、健太にびーるを作ってもらおうかのう」
「健太君健太君!きゃっとふーどって言う食べ物はどんな食べ物なんですか?もう、聞くだけで美味しそうな名前。よだれが止まりません。」
「健太よ、このきゃばくらとか言うお店はうるおい屋と何がちがうんじゃ?うるおい屋さえあれば、きゃばくらとやらは要らんだろうに。」
シエルとイルグルは、貴重な本を利用して、健太に質問ばかりしている。
「お・・・お前らなあ・・・。」
「なんじゃなんじゃ!少しくらい教えてくれても良かろう。同じ研究員じゃろうに〜。」
「そうですよ健太君。僕達が古代の事を少しでも知る事で、ラマ国の発展に・・・」
少し酔っているのだろうか、くだらない質問ばかりをシエルとイルグルはしてくる。彼らにとっては、大事な質問なのかもしれないが、こんな大したことない質問をされている健太は、これでもグッと我慢をしていた。
「そんなことより、じじいと黒助に頼みがあるんだけど。」
今度は健太が何かある様子。
「何じゃ、申してみい。」
「健太君、何でも言って下さい。」
「俺に・・・俺に・・・魔法を教えてくれ!」
「・・・・・」とシエル
「・・・・・」とイルグル
「・・・ん?」と健太。
そして
「ニャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」
とイルグルが笑い始める。
「な・・・何だよ黒助!何がおかしいんだ?」
「ニャハハ、健太君、人間は魔法のマの字も知らない程に魔力が無いんだよ。」
「何!マジか!」
「ニャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」
イルグルはまた再度笑い続ける。しかしシエルは笑わなかった。それはピカトーレンでリサがメルーに投げた石を健太が魔力で曲げた可能性があったからである。
やがてシエルは健太に話し始めた。
「健太よ、ピカトーレンの人間は全員レンジャーの修行をしているじゃろ?人間は、魔力を持たない。しかし生きる為には何かしら強さを持たないといけないから、人間はレンジャーの力を身に着ける修行をしているのじゃよ。」
(そ・・・それが原因で人間はレンジャーの能力をピカトーレンでは身に着ける修行を大人から子供までしていたのか・・・ってことはレンジャーの能力がない人間ってこの世で俺だけ?
むぅ、俺の特技ってサッカーボールを蹴るだけしかないじゃないか・・・さすがにこの世界では正当防衛する為にも何かしら能力は必要だ、レンジャーに向いてない、魔力もない。どうすっかな〜。)
健太は悩んだ、しかしこればかりはどうする事も出来ない。そこへイルグルが声をかけてきた。
「まぁまぁ健太君、今は焦らずにいましょう。いずれ、あなたにはあなたの能力、持ち味が必ず現れるでしょう。それまで我慢です。それに、古代語が話せるだけでも素晴らしい能力ですよ。」
「それは能力じゃなく、日常記憶力だよ黒助君・・・」
「健太君、君も経験したでしょ?水魔法や火魔法等、それぞれの種族が属性を持っている事が殆どだよ!魔法とはそれほど危険な属性を持つ。その他にもエルフの風属性や僕等猫族の土魔法もある。噂ではバドームの上層部では闇魔法の使い手がいるらしい。」
属性?なんたら魔法?テレビゲームの世界の現実バージョンがこの未来・・・かとつくづく健太は思うのであった。
今日はいろいろな事がありすぎた様だ。隕石から図書館、そして魔法、最後に属性。
人間って生き物にも脳の働きが鈍くなる事がある・・・それは・・・眠たい時だ。
今日はいろいろな事がありすぎて、健太の頭は限界が来た様だ。無意識にうるおい屋で倒れ込む様に寝込んでしまった。
「あら?健太君?まったくもう、せっかく今からいろいろと教えてあげようと・・・」
「いろいろな事が起こったからのう、今日はそっとさせてやるのじゃ。」
「・・・しかし師匠、健太君、魔法を教えてほしいって・・・なかなか面白い事を言ってましたねぇ。」
「あーイルグルよ、その事なんじゃがな。」
シエルはピカトーレンに健太を迎えに行った時、健太に魔力の能力を持っているかもしれない出来事があった事を伝えた。
「人間に魔力ですか!?いや〜、信じられませんが、健太君は何となくですが魔力を持っただだ1人の人間かもしれませんねぇ。」
健太はグースカと寝ている。今は単なる戦い方も知らないこの人間が、今後のバピラを変えていく主謀者になっていく事になるのは、未だ誰も知らない。
第4章 健太の属性へ続く。
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