3章 ラマ国中央図書館

第12話 歓迎会

 ラマ国に着いた時には完全に夜になっていた。シエルの土魔法、砂バネを使用すると、脚力が良くなり素早くラマ国に移動出来た。


「よし!健太よ、まずはお主の歓迎会じゃ!ワシとメルーのおすすめの店、うるおい屋へ行くぞ。」


「おっ!早速美味しい食いもんにありつけれる!早く行こうぜ!」


 こうして3人は夜のラマ国を歩き、うるおい屋を目指す。

その遠くの方で、白く、一際ひときわ高い建物で松明たいまつで明るくされた建物が目に入った。


「なあ、シエルのじじい。あの建物はなんだ?王様でもいるのか?」


「ん?ああ、あれはのう、ラマ国中央図書館じゃ、あらゆる情報、過去や未来、ビジネス、戦争、魔法、病気等がびっしりと情報が詰まった貴重な図書館じゃ。って誰がジジイじゃ!」


「マジか!よし!行ってみよ・・・」


(おい、あれ見ろよ、人間じゃないか?)

(いやいや、まさか、着ぐるみだろ?)

(な〜んだ、着ぐるみか、しかしよく出来ていたな〜)

(もし人間だったら、俺の爪の餌食になっていたさ!)


何やら周囲の猫族と蒼ピクシー達が、健太を見て騒がしくなってきた。


「シエル様、このままでは・・・」

メルーの発言により、シエルはやむなく魔法を唱える。


「うぬぬぬぬタンペットサーブル!」


 シエルは土魔法を唱えた。周りに砂が回転し始める。外側の者から見ると、おそらく砂の竜巻になっている筈だ。


「さあ健太!今のうちじゃ!」


「おっおう・・・すげ〜砂嵐じゃん!」


健太とシエル、メルーは砂の竜巻の中に隠れながら移動し、うるおい屋へと移動した。





「は?なんだそれ?行けないってどういう事だよ!」


健太は納得いかずシエルにイラっとしてしまった。うるおい屋に到着してから、健太は猫族が身につけているローブを身に纏い、猫族に化けた。人間ながらの化け猫である。


「シーーーー!!バカ!!声が大きいわ!!よいか健太、ラマ国中央図書館ってのは、ラマ国民の為の図書館であり、管理しているのはラマ国上層部だ。」


「だったらどうやって図書館に侵入するんだよー!」


「侵入などせぬわ!先程トロルのドズラにお前の好きそうな本を借りて来てもらう様に頼んだ。」


「俺が欲しそうな本?わかるのか?」


「逆に聞くが、どんな本が読みたいのだ?」


 健太は考えた。どんな本って言われても、なかなかわからないものであるが・・・

健太はリュックから一冊の本を取り出した。

何かを思い出した様だ。


「あーっ、あったあった!これだ!」


それは、社会のテキスト53ページ目、現代と歴史というタイトル、そしてデカデカと大きな地球が乗っている特別カラーページであった。


「こういう本があったら借りてきて!」


「は?」

シエルは地球を見たが、反応がない。


「研究してんならこれ見てわかるだろ?地球だよ、地球の本とかないの?」


「う・・・美しい、これが我らが住んでる地図・・・メルーよ、飲んでいるところすまんがイルグルを呼んできてくれ!」


「わかりました。」


 健太は知らない地の為、(イルグル?この俺を紹介するつもりなんだろうが、どんな奴だ?トロルだったらやだな・・・)と、悪い方向に考えてしまう。


 ラマの国にいる猫族、ピクシー、トロルの中でもやっぱりトロルは巨体で恐ろしく感じる。トロルは力が並外れているのは見た目通り。ただ、欠点が多い。目があまり良くないと考えられており、知能も低い。そして会話が基本出来ない種族だが、かなりの鍛錬を積んだ努力したトロルの中で一部バピラ語を話せるトロルもいるらしい。あのドズラっていう口の臭いトロルの様に。


 そして俺の背後より声が聞こえる。

「シエル様、イルグルを連れてきました。」


「イルグル、突然すまんな。」

来た!どんな奴だ?・・・


「こんばんは!師匠、一体どうしましたか?」


ん?トロルっぽくない声だ!俺は素早く振り向いた。


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