第7話 再開
【あたし・・・あの時・・・】
「ハッ、イズミさん!!イズミさん!!しっかり~~!!」
「ルー、逃げ・・・メルー・・・つ・・たき・・・あな・・う・・・て・・・」
「イズミさん・・・う・・ううう・・・・」
【イズミさん・・・ごめんなさい・・・】
「ルーよ。」
「メルーよ。」
「メルー!メルーよ!!」
さっきからシエルはメルーを呼んでいるが、全く反応しない、どうしたのか。
「ハッ!!はいはい、何でしょうシエル様!ごめんなさい、あたしまたボーっとして・・・」
メルーは考え事をしていたが、我に帰りキョロキョロする。
「メルーよ、大丈夫か?」
真顔でシエルは心配している。
「あっはい!お恥ずかしいところをお見せしました、申しわけありません。」
「・・・あの丘上まで行ったら少し休憩するかの?」
メルーはコクリと頷く。
シエルはメルーを気遣い休憩を考えた。単にボーっとしていただけで、敵国に侵入後に休憩する事にメルーは申し訳なく感じながらも、休憩する事を望んだ。
しかし、丘上に向かうシエル達ではあったが、先客がいた様子。
「ムニャ?あれは・・・」
★
ピシッピシッピシッ
「行け行け〜リョウ!丘上の一本木までもう少しだ!」
リョウの背中に乗ったまま、健太は拾った枝木を鞭代わりにしてリョウのケツを叩く。
ピシッピシッ!
「イテテテ、叩くなよ!少しは加減しろ!」
「我慢しろ!さあ、ラストスパート、心臓破りの坂だ!いっけぇぇええええええ!」
健太とリョウは、シュールの施設の窓ガラスを割ってしまい、バレない様に逃げていた。逃げる目的地として、この丘上の一本木に決めた様だが・・・
「ゼェッゼェッゼェッ」
横に転がり込むリョウ。
「逃げ切った!俺達の勝ちだ
健太とリョウは丘上に着いた。大きな一本木が立っているこの丘は、シュールの施設にいる子供達のお気に入りの場所。
「健太、リョウ、あんた達何してたの?」
何やら一本木の上から声が聞こえる。声の主はそのまま木の枝から飛び降りて来た。
スタン!!
と、スムーズに3メートル上から着地した人物は・・・
「ちぃ、リサか。お前もこんなところでサボりか?」
健太に、リサと言われたこの人物は、健太と同じ人間だ。健太の様に違う環境から来たわけではなく、生まれも育ちもピカトーレンの彼女はほぼ毎日健太と口喧嘩をする日々であった。
「はあ?あんた達と一緒にしないでくれる?アタシはねぇ、ここで待ち合わせをしてるの!?」
リサは呆れる仕草をしながらそう答える。人を苛立たせる天才であった。
「お前なんかを待つ人なんかいるわけ・・・」
「そうだそうだ!健太のいう通りだ!リサなんかを待つ・・・」
健太とリョウは青ざめた。たった今リサの後ろに現れた人物、それは正にシュケルであった。
「リサよ、待たせたな。山菜採取の手伝いにわざわざすまんな。それとそこのバカ2人!」
「は・・・はい!」×2
ガン!!ガン!!
2人はかなり強めのゲンコツをいただいた様だ。健太もリョウも頭を抱えて苦しんだ。シュケルはため息を吐き、説教は続く。
「やれやれ、お前達2人の将来が心配だわい、特に健太、お前は・・・」
『お前様よ、貴様の将来なんて心配せんでも良いぞ!』
「に、日本語!!」
どうやらシエルとメルーが健太に接近した様だ。
「久しぶりじゃな!
「あんたは・・・確かダークルカン博士!」
「は?」
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