第13話 挨拶

先生の協力もあり、無事に四十九日も終わった。

今は改めてお墓参りをしている。

家に置く仏壇は当日に届いたので少し焦ったが、特に支障は無かった。

納骨するお墓は僕がデザインを決めた。

和墓と呼ばれるものにした。シンプルなものだが二人が入るお墓なので少し大きめのお墓にした。もちろん名前や家紋も掘ってもらった。

感謝すべきことにこの費用はすべて先生が出してくれた。

法事に関することはほとんど先生がしてくれた。親族の確認が必要なときだけ俺が入る形となった。


「先生。ありがとうございました。」

「気にするな。」

「両親をちゃんとした形で送ることが出来たと思います。」

「私も佐藤の両親に挨拶して良いか?」

「勿論です。先生にはお世話になってますから」

「ありがとう」


先生は両親のお墓の前に行った。


冬風椿ふゆかぜ つばきと申します。航さんの元担任です。先に話すべきことは多くあるのですが、まず謝罪をさせてください。事故後に担任でありながら、航さんを支えることをせずに何もしませんでした。その結果、航さんが悲しんでいることにすら気付くことが出来ず、航さんを傷つけてしまいました。申し訳ありません」


「本来許される立場じゃないのは承知しております。自分勝手の判断で航君を支えることを選びました。これは私の償いです。」


「私から一つお願いがあります。半年の間、航さんを支えることを許してほしいのです。航さんがこれ以上傷つかないように全力でサポートしていきます。こんな罪深い人間ですがどうか最後のチャンスをお与えください。」


先生は涙を流し、俺の両親に許しを請うようにそう語りかけていた。

許すも何も、先生は悪くないのに。

でも、先生が真剣に俺を支えてくれていることが改めて分かった。

最後の半年になるかもしれないが、最後に過ごすのが先生になりそうで少しほっとした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る