第12話 法事

最近は時間の進みも早く感じる。

先生曰く、それは心の状態らしい。

何かに没頭したり、心が充実していたりすると早く感じるそうだ。

僕個人としては良い兆しだと思っている。

生活にも慣れ、先生と過ごす日々が充実してきたからだと思う。


「なあ佐藤。もうすぐ両親の四十九日だろう?」

「そうでしたね。でもあまり実感がわきません。」

「法要するなら事前に決めないといけないのじゃないか?」

「いえ、やらないつもりです。」

「どうしてだ?」

「するなら親族でしたかったのですが、もう俺の周りには親族すらいないので。」

「強要するつもりは無いが、君はしたくないのか?」

「初めてのことだから、あまり分かりません。しても僕一人だけですからね。」

「そうか。」

「でも、ちゃんとしたお仏壇は用意してあげようと思ってます。」


お墓やお仏壇はしっかり用意しなくちゃいけないな。

でも、お仏壇くらいは自腹で買えなくもないが。お墓は少し厳しい。

両親の遺産はあまり残っていない。あれだけの事件が起きたんだ仕方ない。


「もし赤の他人の私が、君の両親の法要を手伝ったら怒るか?」

「怒りませんよ。いいんですか?」

「私はあくまで相談役・助手と言う名目だ。」

「それだったら、こっちからお願いしたいくらいですよ。」



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