第9話 関係性

俺と先生の関係性はなんと呼べるだろうか。

恋人でもない。友達でも家族でもない。

生徒と教師だろうか。少し違うかも知れない。

ただの同居人?しかし俺は先生に養ってもらっている。


「先生は俺を何だと思ってますか?」

「どういう意味だ?」

「関係性です。教師と生徒のままでしょうか?」

「そうだな。まず君はもう生徒じゃないだろう。しかし同居人とも言い難いな」

「そうでしたね」

「契約上のペットと言った方が近いかもな」

「…ペットですか」

「冗談だ」


まぁ養って貰っているから間違ってはいない。人間に昇格できるようにしないとな。

昇格しても、せいぜいヒモだろうな。


「…君には私にとっても特別な存在になってくれたら嬉しいと思う」

「そうなったら、半年後悲しむんじゃないですか?」

「そうかもな。でもそれでいいんじゃないか?」

「そういうものですかね」

「あぁ」


人を悲しませるような死はなるべくしないようにしようと思っていた。

でも悲しんでくれる人がいるのは羨ましいな。少しはましな人生だと言えるだろう。


恐らく半年の間で関係性は少しは変わるだろう。

俺は半年後どう思っているだろうか。死にたいだろうか。

先生に少しは悲しんでもらえるような人になれてるだろうか。

分からないな。



どちらにせよことはできない。




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