第7話 新しい生活


翌日に学校に退学届を出しに行った。

校長先生には休学にしないか?と提案されたが丁重にお断りした。

提出し終わり、先生の車で新しい家に連れて行ってもらった。

少し高級そうなマンションだった。

一人暮らしには充分な広さの部屋で、とてもいい匂いがした。

整理整頓が出来ているというよりかは、生活用品が一切無かった。


「部屋には何も置かない主義なんですか?」

「いいや。引っ越しの準備でもう持って行ってもらったからな」

「引っ越すんですか?こんないい部屋なのに」

「私個人としては気に入ってる。だが一軒家に住むのが夢だったんだ。」

「…そうですか。」


たぶん俺が原因だろう。自殺志願者と同居するのだ。

マンションだと色々とまずいからだろう。

周りの人に迷惑の掛からない方にするのは当然だろう。


「…君のせいじゃない。」


あぁ、この人はどこまでも優しい人だ。ついこの間までとは印象が全然違う。

そうだな。半年はこの人を悲しませないようにしないとな。



次の日

車で長い時間過ごした。遠い田舎の方に行くらしい。

途中で買い物をしたり、ご飯を食べたりした。

何年ぶりかな。こんな旅行みたいなことするのは。


3時間半かけてやっと新しい家に着いた。

山の麓らしくあたり一面が草原のように広い。

大きく立派なログハウスだった。

中に入ってみるとカフェのようにお洒落な内装だった。

とても落ち着く雰囲気だ。


「気に入ってくっれたか?私が去年設計したやつなんだ。」


先生の親は建設関係らしい。デザインは先生がしたらしく今年完成したそうだ。

家族が出来るまでは別荘のように使おうとしていたそうだ。


「先生はここから通うんですか?」

「いいや。私は休職したんだ。君の面倒を見つつ、家で出来る仕事をするつもりだ。」

「…俺なんかのために。」

「いいさ。お互いのんびり過ごそう。」








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