第17話 告白
彼女はどこか懐かしそうに語りだした。
「あなたは覚えていないでしょうけど、私が小学生の頃、あなたとは同じクラスでした」
俺は体調の悪さもあってベットで寝転びながら、黙って彼女の言葉を聞く。
「その頃の私はお嬢様学校の受験に落ちてしまい、毎日不安でした。ろくに友達もできず、裕福な家庭で生まれ育ったせいか周りに合わせるのが難しくて……うまく周りになじめずに一人ぼっちでいました。ひどいときはいじめっぽいこともありましたが、基本的に私はいつも孤独でした」
彼女は語りながら次第にうつむく。
数秒後、彼女は意を決して顔をあげる。
「でも、純粋に私と友達になってくれた男の子がいました……それがあなたです。女の子の私にきさくに話しかけてくれて大好きな本の話や私の知らない大衆向けのアニメや駄菓子屋でいっしょにぽっきんアイスを食べた思い出は今でも昨日のことのように思い出します。それにあなたは優しくていつもいじめっ子たちから私を守ってくれた……あなたは私にとってヒーローそのものだった」
「…………今は違う」
「いいえ、違いません。前に私がガラの悪い人たちにからまれても助けてくれました……うまく言葉にできないですが、しばらくぶりに出会って、いろいろとあったせいかあなたは幼いころ程明るくないですけど、あの時と同じ優しくて強い人ですよ……私は」
『あなたのことが好きですよ……これまでも、そしてこれからも』と彼女は心の中でそう言った。
俺は熱が出た頭でぼうっとする中、俺は一番楽な答えを素直に口にする。
「俺も……俺も君のことが好きだ。お嬢様ではなく、一人の女性として」
そういうと彼女は「え……」といったあと、涙を流す。
頬を流れる一筋の涙。
そして彼女はあわててそれを拭う。
それでも彼女の心の奥底からあふれ出た思いを抑えきれず、彼女は泣いた。
泣いて、泣いて、すすり泣いた後。
豪雨が晴れ、俺の部屋の窓から彼女へと太陽の光がさす。
彼女は屈託のない笑顔を浮かべる。
―――――これは二人の不器用な物語。
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