第14話 執事からの依頼 その2
「一花様は日本にはもったいない才能をお持ちです」
俺は思わず、彼女が俺と出会うたびに小さく心の中で『んほぉ……今日も猫八様凛々しいですわぁ』とお目目をハートにしそうなほど直球な挨拶を交わすのを思い出す。
「…………本当ですからね」執事はジト目で念を押す。
「はい」
「それで……どうか引き受けてくれないでしょうか?もしだめであるというのであれば私の力でよければ差し上げましょうか?」
「…………いや、超能力はもううんざりだ。今のままでいい」
「引き受けてくださるので?」
「…………あぁ、俺も一花さんと本音で付き合えたらいいと思ってきたんだ。時間をかけてこの気持ちを整理したいんだけど、どこか彼女が留学するという事実を聞いて気持ちがはっきりした」
「それはそれは、よいことでございます」
「あぁ、でも俺のような何の変哲もない男でいいんですか?」
「ご謙遜を。あなたは優しく、頼もしい御仁だとお嬢様から聞いておりますよ」
「そ、そうですか」
俺は柄にもなく照れる。
執事はほっほっほと笑う。
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