第7話 ナンパ
男が女に声をかけるのは大体、その女性の体が目的だと俺個人は思っている。
夕方。
一花が一人で帰っていると金髪でタトゥーの入ったちゃらちゃらした男と似たような見た目のチャラい男たちが彼女の前に立ちふさがる。
彼女は真顔で彼らの顔を見据える。
だが、その心の中では。
『やだ、この人たち、何?こ……怖い』
「なぁなぁ、俺達と一緒に遊ばないかぁ?」
「遠慮します」
『怖い怖い、誰か助けて!』
「そういわずにさぁ」
彼女の肩に男の手が触れる。
びくっと彼女は驚く。
俺はなんだか見過ごせなかった。
第一、女子高生をナンパとか常識的に考えてやばいだろう。
「おい!」
「あんだよ、てめぇは」
「嫌がっているだろう」
「チッ…………いくぞお前ら」
そういってチャラい人たちは去っていく。
一花は腰が抜けてその場に座り込む。
「大丈夫か!?」
「えぇ、少しふらついただけ」
凛とした顔で涼しげに流す彼女の心ではホッとする声が聞こえた。
目元に涙さえ浮かべる彼女に俺は手を差し伸べる。
彼女は俺の手に自分の手を重ねて立ち上がる。
「家まで送ってくよ、物騒だし」
「あ…………あの」
「ん?」
「ありがとう」
そういう彼女は年相応の乙女の魅力を存分に発揮していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。