なんて不毛な恋だったのでしょうか3
あれから、1週間。わたしはまだ、あいつーー二階堂聖のことが忘れられなかった。
ハルトくんには悪いと思っているが、どうにも出来ないのだ。
「…ごめんな…ハルトくん…」
そうしてわたしはまたあの路地裏へ向かう。
目的は、ハルトくんの探し物を見つけること。
ーーーいや、聖に会いたいのだ。本当は。
あの感情は錯覚だったのか、違うのか。わたしは、それが知りたい。
だからーーー
(もう1回、もう1回二階堂聖に会えたら、やめるから。許してくれ、ハルトくん)
♡
路地裏にて。
「……やっぱり居ないか、聖。」
こうして来るのも何度目か。
まだ、あいつには会えていなかった。
「…ん?なんだ、これ」
地面がそこだけ、濡れているようだ。
近づくことにした。
「ひっ…こ、これは?!」
なんと、血だった!!!
「きゃ、きゃーーー!!!!!」
つい叫び出して、逃げ出してしまった!!!
「……闇音ちゃん?」
「あ、ハルトくん…」
そうして、どこかへ連れていかれた。
♡
「ご、ごめん…!!ハルトくん!!」
「別にとくに、いみは、ない、ん……」
気づいてしまった。
ハルトくんは、
泣いていたということに。
また、泣かせてしまった。
「あ…ハルト、くん」
もう泣かせるつもりはなかったのに。
やっぱり、わたしじゃ、だめなのかもしれない。
♡
それからというもの、わたしとハルトくんの関係は悪くなってしまった!!
「ハルトくん…ごめんな」
「多分、ハルトくんのためには…わたしたちは別れるしかないんだ……」
がちゃ
家の扉が開いた。
「…誰だっ?!」
「……闇音ちゃん…言ったよね、捨てないでって。」
ハルトくんだ。
「ごめん…ハルトくん…でも、わたしじゃあ、ハルトくんを幸せにできない!!」
「…っ」
また、ハルトくんを泣かせてしまった。
「いいよ…もう…闇音ちゃん…」
そう言って、ハルトくんは家から出ていった。
ばたん…。
「追いかけなくちゃ!!!」
♡
すぐ追いかけたのだが、ハルトくんの足ははやかった。
「追いつけないっ…!!」
そして、気づけば、いつもの路地裏へ。
「わあ!!!」
転んでしまった。
痛いなあ……。
意識が無くなりかけていた。
「ハルト……くん…」
「はあ…。なにやってんのさ…。」
声が、聞こえた。
「はっ?!し、死んでるのか?!近所迷惑だよ!!」
ふんっ。勝手に言うがいいさ。そう思いながら意識を失った。
♡
「…ここは…??」
気がつくと、ベットの上に居た。そこまで寝心地は良くない。というか、悪い。
「体が痛い…な」
周りを見回すと、誰かの部屋みたいだ。
「あれ?起きたんだ」
「はっ!!!その声は!!………………聖だな!!!」
「なにその間」
「ははは…。で、ここは…どこなんだ??」
「どこって…俺の家に決まってるでしょ」
「……は?」
びっくりしてしまった。
わたしは、ハルトくんにもう、顔向け出来ないのではないか、と。
「いや、何もしてないから!!!!」
「ええっ……。それは…嘘では…?!」
「誰がお前の様な傍若無人な奴に何かしようって思うのさ!!!」
ぐさっ
なぜか心に来た。
なんでだろうな…。
「うっ……………………。ところで、何故わたしはここに連れてこられたんだ?」
「道に倒れてたから」
「は?」
「〜〜〜だから!!道に倒れてた!!から!!!」
「え、いや…その…ハルトくん……烏の濡れ羽色のような黒髪にアメジストの瞳をした顔のいい男は見なかったか…??」
「知らないよ。俺が見たのは人が1人道の真ん中で倒れている状況だけだし。」
「…!!!すまん!!!このお礼は後でする!!!!」
部屋から出ようとすると……。
「うっ!!!!!!!」
「あ、まだ足の怪我治ってないと思うけど」
「は、早く言え!!!!!!//////」
♡
「ふーん。つまり、彼氏に捨てられたんだ」
「ち、ちがう!!!喧嘩をしただけだ!!!!…たぶん………わたしの何が悪かったのかはわからないが……」
「それで?どうするの??」
「わたしは……わたしは!!!謝りたい!!!!!ハルトくんに!!!!!!」
「理由もわからないのに??そういうの、やめたほうがいいよ」
「くっ…それは…そうだが…………………。でも、わたしは、ハルトくんに、謝りたい」
「ふーん、そう」
「だから、はやくここから出してくれ」
「え、その足で?」
「………………ううっ」
「はあ、まあ、協力はしてあげるよ」
「本当か?!」
「とりあえず治るまでの間はここに居ていい」
「おお…!!聖は優しいんだな!!!!」
「/////////〜〜〜やめてくれ!!!!」
「え、え、どうしたんだ聖。なにも…して、いない…ぞ?」
上目遣いで言った。
「……はあ。」
二階堂聖は続けて言った。
「その代わり、そのハルトって奴に合わせてよ」
♡
こうして、わたしと二階堂聖の共同生活は始まってしまった!!!
「聖、あれをとってくれ」
「自分で取りなよ…それぐらいできないの?」
「くっ…別にいいだろ!!!」
「はあ…ほら」
とか、
「今日は何をしよう!!」
「そこに勉強道具あるよ」
「そんなことわたしがするとでも言うのか!!!」
「いや、しなよ」
とか、
「え、聖の兄ってわたしの担任だったのか?!」
「会ったんだ」
「あ、ああ。さっき外に行っていたら、先生に会ってしまってな…。」
「ふーん。そう」
「最近冷たくないか?!」
「…もとからだし」
でも、何日か過ごしていくうちに
「ほら闇音、ここ間違ってる」
「え?!本当か!!!ありがとう!!!!」
って感じで勉強を教えてくれたり
「そろそろ歩いたら?」
といって連れて行ってくれたりした。
「…治ったな!!ありがとう、聖」
「ふーん…。別に…、なにも、してないし」
そして、わたしは家に帰った。
「…すこし、寂しいな…。」
あの短期間で、きっと、聖は、わたしにとって大切になってしまったんだろう。
ハルトくんに対する裏切りのようだ。
でも、それも、今日が最後だ。
「…どうにもならない恋だったけど、人生で1番幸せだった」
ピンポーン
聖が来た。
「…ハルトくん…いま、行くぞ!!」
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