なんて不毛な恋だったのでしょうか2

二階堂聖と出会ってから、わたしはどうもあの日のことを思い出してしまう。


「…はあ。ハルトくんには言えないな。こんなこと。」


と言って、過ごしていたのだが…。


「闇音ちゃん…闇音ちゃん、聞いてる??」


「あ、ハルトくん…♡どうしたんだ…?」


「はやくデート行こう?今日約束してたよね?」


「あ、そ、そうだったな…!はやく行こう!!」


どうも最近、記憶力も下がってしまっている。

きっと二階堂聖のせいだ。

どんなことをしていたって、彼のことを思い出してしまうのだ。


(はやく忘れないと…!ハルトくんのためにも!!)


そうして、連れていかれたのは、あの路地裏。


「…ハルトくん、ここって…」


ハルトくんは立ち止まった。


「…ごめんね。闇音ちゃん。デートとか言ったけど、実はまだあれを探してるんだ。」


「…そっか…。まあ、忘れられないものもあるよな!!…ってことで、今日のデートは捜し物デート、だな!!」


あまり、納得はいかないが、ハルトくんの機嫌を損ねるのも嫌なので、受け入れた。


「うん…。ありがとう、闇音ちゃん」


もしかしたら、あいつにーー二階堂聖に会えるかもしれないからな…。



「じゃ、じゃあわたしはこっちの方を探すことにしよう!!」


「ぼくはこっち側探すね…」


ハルトくんは元気が無かった。そんなにショックだったのだろうか。あれを無くしたことが。

わたしには、そんな価値のあるものだとは思えなかったが、ハルトくんには、わたし以上に大切なものなのだろう。態度がそういっている。



カアカア…

からすが鳴いている。もう夕方だ。結局捜し物は見つからなかった。


「どうしような…」


そして、わたしは、道に迷ってしまった。



「どこへ向かえばいいんだ…??」


ここで、聖の言っていた、この辺りの治安が悪い、ということを思い出してしまった。


恐怖で足が震える。


「…ひっ…」


カツン、と音がした。


「…なんだ…?」


自然と小声になる。


カツン、また音がした。


きっと誰かがいる。


全身が震え始めた。


「…やめてくれ…」


震える手でスマホを取り出す。


とりあえず、ハルトくんを呼ぼうと思った。


でも、この時のわたしは、混乱していたので、スマホを使わなかった。



すう…

「ハルトくーん!!!!!」



その瞬間、










頭に

















衝撃が走った。








「くっ…なにが目的だ!!」


気がつくと、わたしは、何者かに捉えられていた。


しかも手を縛られていた。



「やめろ!!わたしを殺しても何も無いぞ!!」


「げへへ…お前のその片目…能力があるんだろう??」


「くっ…わたしはもう、力なんて…無い!!」


なぜ奴らはわたしの力を知っているのだろうか。


恐怖で震えそうだ。



…ハルトくん…っ





助けて!!!














「ねえ、そんなとこでなにやってんのさ」



現れたのはーーー







「あ、あの時の話聞かない人だ。」





ーーー二階堂聖だった。





「ふうん。助けて欲しいの??いいよ。聞きたいことあったし」


そう言って彼は、持っていた2本の刀を出した。


シャキン


鞘から抜いた。


カチャリ


構えた。



そして、




ザシュッ!!!



わたしを捉えていた男たちを一掃してしまった!!!





「……え…すごい…!!」


小声で言ったはずだったのだが、彼には聞こえていた。



「ふう…で、闇音、だったっけ?すごくもなんともないよこんなの。」


彼は違う方向を見た。



「あ、いや、でも…凄かったぞ!!わたしにはできないからな!!!」



すると彼の耳が赤くなっていた。



「ふ、ふーん///そんなこと言ってもなにも出ないからな!!」





か、かわいい…異性に対してそう感じたのは初めてだった。




「…迎えきてるよ…行けば?」



「え…っ?!」


振り向くと、ハルトくんがいた。




「闇音ちゃん…何処行ってたの??」


「ち、違うんだ!!ハルトくん!!」


つい、浮気した奴みたいなことを言ってしまった!!


「わたしは…そんなつもりは無くって…変なやつに捕まったんだが…そのときに…助けてくれたんだ…!!」


「…大丈夫、疑ってないよ…ただ、心配だったんだ。あそこで別行動してから、連絡取れなかったから…」



ハルトくんはやっぱり、いい人だった。


そんな彼の心を傷つけたかもしれないのは、とても、辛かった。



「ところで、誰??この人?」

ハルトくんが指を指した先に居たのは、二階堂聖だった。


「まだ居たのか?!二階堂聖!!!!」



「酷くない?!命の恩人に対してさ!!」


「ふーん。二階堂聖って言うんだ…闇音ちゃんはぼくのだから!」


「は、ハルトくん///恥ずかしいぞ…こんなところで///」



「はあ…バカップルじゃん…じゃ、これで」

そう言って、聖はスタスタとどこかへ行ってしまった。



「あ…」


「闇音ちゃん、闇音ちゃん!!」


声をかけられるまで、聖の後ろ姿を見てしまっていた。


「ご、ごめん!!ハルトくん!!…帰ろう!!」


「うん」

「…ぼくのこと捨てないでね、闇音ちゃん…」


「?なにか言ったか??」





わたしは、ハルトくんの闇に気がつけなかった。

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