なんて不毛な恋だったのでしょうか1
その日、わたしは狭くて暗い道を通った。
そしたら、出会ってしまったらしい。
"殺人鬼"に。
最近噂ではよく聞いていたのだが、ついに自分が遭遇してしまった。
「君!!何してるんだ!!!」
それを見た瞬間飛び込んでしまった。
片目を失ってもなお、わたしはこういうことに首を突っ込んでしまうのだ。
「…………?」
キョトンとした顔でその少年はこっちを見た。
彼の顔は、恐らく同年代で、左目が隠れる髪型をしている。どこか闇を感じる雰囲気がある。
そんな彼の足元と服(+顔)には大量の血が。そして、彼の手には血の着いた刀が2本あり、片方の刀身は白く、もう片方は黒かった。
状況を理解したわたしは、彼に向かって言う。
「人殺しはやめろ!!」
「そんなことをやっても自分の為にならないぞ!!」
「…ごめん、誰?」
「誰?わたしは闇音、だ!!!隣の田舎町に住んでいる!家族構成は…」
「そこまで求めてないけど……で?なんで、見知らぬ他人なのに止めてきたのさ」
「そりゃいかんだろ。人殺しは」
「そういうことじゃない。怖くないのかって聞いてる。それとも…死にたいの?」
すこし蔑む態度だった。が、こんなのに負けていてはいけない!
「怖い?そんなの、怖がっていたらどうにもならないだろう!!それにわたしはもっと怖いものを知っている!」
「ほら、とっととやめて家に帰ろう!!」
そう言ってわたしは、彼の手を引いた。血で汚れるのは気にならなかった。
「ちょ、やめて。気持ち悪い」
がーーーーん。初対面の相手に気持ち悪いと言われた。
「え、ショック受けてる…?他人にはずかずか言えるくせに?」
うぅ、本当の事なので何も言い返せない。
はあ、と彼はため息をこぼした。
「いいよ。べつに。でも、今度はないからな。」
殺意を込めて言ってきた。
「そ、そうか…!!」
「というか、なんでこんな所通ってるのさ」
「捜し物だな!!…ハルトくん…知り合いが物を無くしたらしくてな。…それを探しに来た!!」
「はあっ?!こんな治安悪い所にか?!〜〜絶対その知り合いと縁切った方がいい…!ここは何も知らない人が来ていい場所じゃない。」
「は、ハルトくんをバカにするのか!!!!!」
「そうじゃない…」
「君こそなんのためにここにいたんだ!!!」
「…見ればわかるでしょ?"殺人"だよ。」
「……そうか」
「俺、ある人を探しててさ。"真の殺人鬼"っていうのかな、まあ、そういう人を探してる。たしかイニシャルはーーH」
「……つまりわたし達は、同じ場所で捜し物をしてるってわけだな!!」
「ははっ。あんた、面白いやつすぎない?人の話一切聞かないし、傍若無人だし」
「しょうがないから自己紹介するよ。俺は、二階堂聖(あきら)」
「ふ…よろしくな!!!…それはそうと傍若無人とはなんだ!!!!」
こうして、闇音は殺人鬼ーー二階堂聖と知り合いになった。
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