生物のあれこれ
第一回 異世界生物の基礎
前書き
異世界生物と言えばなんであろうか。
スライム、ドラゴン、ゴーレム等が種族として挙げられるだろう。また、生物と言っている以上、人、亜人、魔人も含める。妖精や精霊も生物として扱う。
尚、植生、植物に関しては、異世界植物として別に扱うこととする。
今回は、異世界生物の基礎を扱っていこうと思う。そして、これをもって次からは個別に扱っていく。
食料
生物の環境には必ず食物連鎖と言うのがある。
生物の捕食関係を図にしたもので、ピラミッドの形をしているのが理想とされる。と、ここまではご存じかと思う。
では、なぜピラミッド型でなければならないのだろうか。
アメリカ合衆国にあるイエローストーン国立公園等にあげられる、狼の再導入や、漁業関係者が頭を抱える赤潮被害からわかることである。
食物連鎖における最下層はミジンコ等にあげられるプランクトンや虫があげられる。その次に草食動物や虫を餌とする動物、そして肉食動物とくる。
イエローストーンでは家畜被害を減らすために狼を狩った。それによってヘラジカやバッファローが増えたことで植物が食い荒らされて育たなくなり、森が荒れた上に畑にまで被害が出た。
そこで、イエローストーンに狼を放った。これによってヘラジカやバッファローが捕食され、行動が激変し、森、即ち植生は元に戻ったという。
赤潮は動物性プランクトンが何らかの影響で大量発生することで起こる。一見、プランクトンを捕食する生物には天国にも思える。しかし、これによって海中の酸素濃度が激減し、捕食する魚介類は窒息死するか、住処を変えるかの二択を迫られる。
赤潮によって不漁となるのはこれが原因なのだ。
では、肉食動物が異常繁殖などで増えるとどうなるだろうか。
この場合、草食動物が減ることになるのは分かるだろう。草食動物は生きる為に住処を変えることも考えられる。この時、肉食動物は留まればいずれ餓死し、草食動物の移動を追うかの二択になる。
これによって植生が変わり、家畜が襲われる確率が高まる。
森の植物がうっそうと生い茂り、間伐を行わなければ、新しい木が生えなくなってしまう。
これらは単純に人間にとって不都合なだけである。私から言わせれば、ほっておけばいつかは元に戻る、人間の現状維持を押し付けているだけに過ぎず、自然を甘く見すぎている典型だと思っている。
いつかは元に戻ると言っても、数十年、数百年の話ではあるが。
それはさておき、生物から外せない繁殖も考えてみよう。繁殖がなければ進化もしないし絶滅する。
生物の繁殖は、基本的に一定の期間になされ、春が多い。なぜだろうか。
これは冬の期間に育つ植物が少ないことがあげあれる。
物は広葉樹を見るのが手っ取り早い。冬が終わる時期、二月や三月から芽吹きが始まり七月、八月、九月に最盛期が来ると、十月に紅葉が始まりやがて葉は落ちてしまう。
つまり、草食動物が春に繁殖を行うのは、乳離れした時期から子供が食べ物に困らないから、と言えるのである。繁殖によって必要な食料が増えるのは当たり前であり、そう考えると合理的だともいえる。
また、熊の冬眠やリスの冬ごもり等も、冬の期間の食べ物に困るからと言えるだろう。
肉食動物もこれに合わせてくる。
狼やライオンの狩りは基本的に子供を狙う。理由は大人より体力が少なく、足も速くないからである。群れの作る動物であれば、群れからはぐれたものを狙う。いかに草食動物と言えど、反撃を食らわない保証はないからである。
食料にありつけやすい時期に子供がいれば生き延びる難易度が下がるのである。
人間はどうだろうか。
人間は特定の時期に子供を産むわけではない。これは、牧畜や農業、漁業が高度化することで、食料がいつの時期でも安定的に手に入るようになる。時期を選ぶ必要がなくなることで、現在の形になったと言ってもよいだろう。
飢える時期に子供を作っても、相応の進化をしなければ繁栄はしない。なので、狩猟時代の人間はもしかすると、一定の時期でないと子供は作らなかったのではないかと考えることもできるわけである。
地理
生物は環境に合わせて進化しているというのは、地球全体で多種多様な生物がいることからうかがえる。
生物は海から来た、とかの原初論はどうでもいい。
これは、食べ物が他の種と同じになってしまうと、取り分が少なくなると言う自明の理から考えると、いずれ海に進出する生物が出てくることが十分考えられるからである。また、捕食対象にならないよう、住処を変えることでも起きうる。
捕食対象にならないよう、生物がすむには適さない北極や南極、砂漠地帯に逃げた生物もいるだろう。その逃げた生物を捕食する為に、極地へと住処を変えた生物もいる。
そう考えれば、ペンギンやホッキョクグマ、ラクダやガラガラヘビ等が極地にいるのは納得できる。
そこに住む以上は、住めるように進化する必要がある。
ペンギンは飛べない鳥として有名だが、彼らは海中を素早く、それこそ飛ぶように泳ぐことができる。これによって、魚を取ることに特化するわけだが、同時に陸上での行動は遅くなる。南極と言う極地であれば、捕食者が少ないのでそれでいいわけだ。
ラクダは背中に脂肪を蓄えて、エネルギーを貯蔵すると共に、日射による背中からの熱を防いでいる。最大で百リットルを超える水を飲むことができ、その水分は血液に溜められ、血球は水分量の多さに耐えられる構造になっている。
魔獣
異世界における生物は魔獣といって扱うことが多い。あるいはモンスターだろうか。
定義としては、魔力を持つ生物、魔素(マナ)に侵された生物あたりだろうか。
あと、地球と違うところは凶暴性の高さだろうか。だからと言って理由もなく襲われるのは苦しい。
地球上の多くの生物は捕食対象であっても、満腹状態なら襲わない。人間を好んで襲う生物は地球上にほぼいない。襲われた場合はほぼ人間側が悪い。
しかし、異世界の生物は人間を発見すると襲ってくる。
人間を食料としているのか、もっと別の理由があるのか、何か理由が必要なのである。理由がなければ無闇に襲ったり殺したりはしない。
ダンジョンに住まう生物はその一部として、侵入者の排除をしようとしている、と言うのは自然であったりする。
地球にはダンジョンに相当する物がある、と言ったら驚くだろうか。
ごく単純なことなのだが、巣穴がそれに該当する。また、共生している巣穴と言えばダンジョンに近くなるだろう。
そして、巣穴と言うのは家である。侵入者を排除して当然なので、ダンジョンで魔獣に襲われるのも当然である。
さて、魔力を持つ生物を魔獣と言うのならば、持たない生物は何と言うのだろうか。と言っても普通に動物でいいだろう。定義をした以上は説明が必要である。特に漫画が説明を省いている傾向にある。
この定義には苦しい部分がある。生物が魔力を持たない、持った理由がなんであるのか、ということだ。
大体半々の割合で持つ生物と持たない生物がいたとしよう。
初めは皆持っていたのならば、切り捨てた理由がいる。逆に持っていなかったのならば、獲得した理由である。
生きること、子孫を残すことが生物の最も大きな存在自由であるが、それに絡まなければわざわざ切り捨てもしなければ獲得することもない。必要だからその形へと進化しているのだということを考えなければならない。
無論、神や管理者が作り出したと言えばそれで終わりなのだが、そうでないなら説明は必須であろう。
ちなみに、個体差としての得手不得手は存在する。同じ種だからと言って、走る速度や飛行速度が全く同じなのはかえって不自然である。その理由で群れからこぼれる生物は一定数いるわけで。
このあたり、ブリーダーはよくわかるだろう。
さて、魔素(マナ)に侵された生物だが、侵されていない生物をどう呼ぶのか、これに関しては魔力を持つ生物と同じでよい。
ただ人間が影響を受けないか、人間が侵されないのかと言われると、定義次第となる。
すべての生物が魔素(マナ)に侵されるのかと言えば、それも苦しいと言えるだろう。理由は、生物は必ず抵抗、免疫を持っているからである。無論、持たない生物もいる。
なので、人間だけが侵されないというのは都合がよすぎるので、きっちり説明したい。
魔素(マナ)に侵されたらどうなるのかは作者の自由でいいだろう。地球上にない物質である。ある程度ならご都合主義でよい。
後書き
基本的なところ、共通するような部分はこんなものだろうか。
わざと精霊や妖精に関連する説明はしていない。と言うのも、こいつらは地球上に似たような存在がいないのだ。調べてもらうとわかるのだが、総合すると精霊は不定形である。妖精は人の形をしているが、大きさが違いすぎる。大方手の平サイズではないだろうか。
生物としての基本から外れすぎているので、個別で、次回扱うことにする。
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