第2話 鬼ヶ島公園前アパート殺人事件

『ばりん』


「はぁはぁ」


 薄暗い部屋の中に荒い息がする。

 下には頭から血を流し倒れる人がいる。

 はたから見ればこの場は殺人現場だろう。

 だが……


「よし、証拠隠滅完了。これで誰も殺人事件だとはは思わないだろう。」


 男はそんなことを言いながら証拠隠滅を図る。


 夜遅くの犯行。

 電気もつけてない。

 犯行道具は、いや、とったほうが正しいだろう。

 冷凍庫で凍らした氷を鈍器として用いて殺害した。

 あとはこれを近くの川に流せば指紋も血痕も残らない。

 最後にテーブルの下にいかにも転んだようにしてガラスのグラスを堕とせば完璧だ。

 何も怖いものはない。

 作戦は完璧だ。

 何も問題ない。


 早速男は死体をテーブルの下に運んだ。

 テーブル付近に何もないことを確認しグラスを落とす。

『ばりん』と、グラスの割れる音がする。


 男はその大きな音に驚き不安を抱える。


「しまった、音が大きすぎた。今ので気づかれたかもしれない。早く済まそう」


 男は慌てて死体の位置を調整してその場を後にした。

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Retrograde  (Hollow) @kk_s_

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