第11話 宅配便
息子が大学生になったことで家元を離れてから7年・・
その間、住む場所は変わっても、ついつい宅配のお届け物をしてしまう。
毎週末、地元の野菜や果物を売っているお店に足を運ぶのが一つのルーティンになっていて
みかんやぶどう、梨を見れば、好きだから送ってあげようかとなるし、
新鮮なきゅうりとかトマトを見れば
きっと野菜なんか食べてないから・・
洗うだけで食べられるし・・
よし、送ろう!となる。
どこでも買えるものだとは思いつつも、
ツナ缶とかお味噌汁の素とか、レトルトカレーとか
お菓子なんかもついつい買ってダンボールに放り込んでしまう。
長男は、荷物が届くとお愛想かもしれないが必ず
「着いたよ!」
と嬉しそうに連絡をくれるから、嬉しくて歯止めがかからない。
それに・・
私自身がそういう荷物が届く生活に私はとても憧れていた。
私にも親元を離れた生活が2年あった。
下宿の隣の友達にはそういう荷物がよく届き、時々おすそ分けなんかも頂いた。
ただ、私にはお返しするお届け物は1回もなかった・・・
そういうのが、とっても寂しかったという気持ちが残っている。
そんな昔の思いもあるのか、ついつい息子にはお届け物をしてしまう。
荷物を開ける時に、笑顔になってくれることを想像してしまうと止められない。
そんな私に、娘は、
「お母さんが送るようなものはどこでも買えるよ。
お母さんはお兄ちゃんに甘すぎ・・」
とか言っていたけれど・・
でも、そんなことを言っていた娘に、お届け物を送るようになる日も
そんなに遠くないだろう。
今日も、息子の大好きなみかんを3袋、野菜ジュース、ペペロンチーノの素をダンボールに詰めて
明日の午前中に着くようにいそいそと荷物を預けてきた。
明日どんな顔で荷物を開けてるかと思うと楽しみでたまらない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます