心 (SF?)

今よりもう少し先の未来。

私はロボットを買った。

色々な雑用をこなすロボットだ。


これから面倒くさいことは全部こいつにやらせようと思う。

腹が立つことがあったら、こいつを蹴っ飛ばして、気持ちを落ち着かせよう。


ロボットの説明書を読む。


ふむふむ。基本的な労働は出来るみたいだな。私の身の回りの世話は、こいつにやらせよう。

私の話相手にも丁度いいな。文句は全部こいつに言おう。


別売り……ロボットの心、〇〇円、だと?

ロボットに心を入れることが出来るのか? ロボットの分際で。


私はロボットの心を買わないことにした。そんなことに、何の意味がある。ロボットは、ただ私の言うことを忠実にこなしていればいいのだ。

私はロボットに向かって言った。


「ロボットの心は買わない。どうだ、心が欲しいか? 私の心が欲しいか? ロボット風情が」


ロボットは初めて自発的に言葉を発した。


「そんなみにくい心はいりません」

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