第7話2021 8/6(金)

仕事から帰り、家事をして犬の散歩へ。

「早く行くぞ!玄関で待機してる」と犬は言うが、この時期は日が落ちるのを待ってから散歩に行くので待機されても困る。私は犬に安眠の魔法をかけて眠らせた。私にはやるべき家事があるので。


満腹度が充分な状態で食洗機に食器を放り込み、ググッと伸びをする。窓の外は夜、散歩日和だ。


玄関へ行くと犬が横倒しに寝ている。何本か抜歯してる老犬なので舌がでている。私は犬の頭をポンポンした。少しして犬が起き上がってあくびをした。

「起きたら夜だ。妙な喪失感がある」と犬はいう。

私はリードと手提げカバン(うんこ回収用のビニール袋と小型のライトが備えられている)を手に持ち、「夜だ、散歩へ行こう」と犬に言った。

カチャカチャと犬の爪がフローリングで音を鳴らした。30秒ほどカチャカチャと駆けまわり犬は玄関へ戻ってきた。私は犬にリードをつけ、サンダルを履き家を出た。


街路樹、近所の人が植えた花、点滅する街灯、まっくろな影となった近所の学校など、夜の景色を眺めつつ、大きめの公園へ犬に連れられて歩いた。

公園には私と犬しかいなかった。

私はベンチに座り、犬は昔のようにブランコと滑り台で遊んでいた。

「なんで上手にブランコを乗りこなしているのか、何度見ても不思議だ」と私は声を出した。もちろん滑り台の階段を当然のように登る犬も変な感じであるが、ブランコの板の上でお座りしたまま揺れてる犬の方がパンチが効いてる。

犬はブランコから飛び降りると、急かすように一度吠えた。元気そうで何より。私もベンチから飛び降り、犬に駆け寄った。

公園からの帰り際、振り返るとブランコは揺れていた。犬が遊んでいた時のように。

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