第7話 瀕死と剣士
『 黒き血を恐れよ、それは闇の啓示なり。 』
いにしえの教え より
光体は、また違った感じで
怪しく光はじめた
自分は光体に背を向けたまま
自分の身体を確認する
首を回し、身体をほぐすように
動く、自分の意思通りに…
しかし、さっきから自分の考えとは関係なく
超人的な動きを見せていた
反射的に、そう動いていた
ゴゴゴゴゴゴ
光に呼応するかのように、床の一部が下がっていく
焦っているはずだ、自分は
この状況に
なのに、なんなんだ
このスッキリとした感じ
まるで、この空間全てを把握してるかのような、全能感
怖い、怖いのに
(… 今なら、なんだって出来る )
一度下がっていった床が、また戻ってくる
そこには、何やら巨大な像が乗っていた
石造の怪物
この遺跡の守護か、何かだろうか
あの光体の手下なのか?
二体の巨大な像は、巨体とは思えないスピードで僕に突進してきた
像が、攻撃した場所に、僕の姿は既にない
像の後ろを、ゆっくりと平然と歩いていた
像が、こちらを振り返る
『…ハッ』
ボクは、またワラッタのか?
その瞬間、黒い斬撃が疾走る
僕は既に、斬り刻んでいたのだ
怪物を
像は、崩れるように倒れた
ブゥヘア・・・・・ッ!カッ
血反吐が床に落ちた
吐いたのは僕だ
黒い…いや、黒が混ざってはいるが、それは普通の赤い血だった
傷口が、血が滲んでいる、開いている
真っ赤な血が、流れ落ちていく
(なんだ…もう、終わりなのか…?)
さっきまでの力が、もう出せない
ズン、ズン、ズン
もう一体の石像が僕に迫ってくる
僕はふらついていて、立っているのがやっとだ
まずい…
石像の怪物が、僕に飛び掛かる姿勢を見せた
キン
(…なんだ? 今度は白い…美しい閃光が…)
その光は石像の体を貫き、まばゆい光となって消えていった
光が来た方を見る
『ソフィアさん!!!』
隊長さんだ、隊長さんは僕と眼が合うとそのまま倒れこんだ
足元には血が
僕の様子を見に来て、今の魔法を…
もう限界、死にかけの状態だったのに…!
僕は、ソフィア隊長に駆け寄ろうとした。
その時、光体がまた うなりを上げ光を増幅しようとしていた
カッ!!
光体は引き裂かれる
自分の最後の力なのかもしれないが、僕が黒い刃で切り裂いていた
『キッィィィィイイイイイイイイイイあああああああ!!!!』
僕の剣も、元の普通の剣に戻っていた
ソフィア隊長を抱きかかえた
駄目だ、もう唇が真っ青を通り越して白くなっている
助からない…!
光体は、真っ二つに裂かれ、おびただしい血を吹き出しながら消滅した
その瞬間、小さく青く爆ぜた
僕は、そちらを見ている余裕など無かったが
その光の中から、女性が現れていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます