第5話 消失と焼失

数ある罪の中で、暴食とはなぜ大罪なのか?

自分で好きなだけ食べる、食べ過ぎた事で健康を害したとしても自業自得で終わる話である。

飢えている者に、食料が回らない事がいけないのか?

しかし、一人が沢山食べるからといって、餓える者が増える訳でもない

食料難は、誰かの食べ過ぎで引き起こされるモノでもない。


何か、罪としないといけない何かがあるのか―。




1つの村が焼かれた

今日はその調査に来て二日目である。


聖騎士団調査部隊

「それにしても、おかしくないか?」


「何が?」


コイツは忙しいというのに、隙があればすぐ話しかけてくる。


「村が魔物や怪物に襲われ、火事が起こるなんてのは良くある話だが 村が丸ごと焼けて無くなるなんておかしいだろ?」


「だから、どうしてそうなったのかを調査してるんじゃないか…」


隊長は近くにいないか? 私語が見つかれば、またドヤされる。


「魔物襲撃で火事が起こるのは、相手が炎の魔物だったり、パニックの中 消し忘れた火が燃え広がったり 大体そんな理由だ。」

「だけど、この辺に炎の魔物なんて生息してない 森に囲まれ、いるのは森を住処にする魔物や動物だけだ 炎の魔物なんて木を燃やすだけだからな」


確かにそうだ、実際に炎系統の魔物の目撃例は村人から上がっていない。

はぐれ魔物の線が無いのだ。


「しかも、村が全焼して 死者がゼロってどういう事だよ? いや、遺体の回収が無いのは助かるけどさ」


「ここの村長の避難誘導が良かったらしい、聞いた話じゃ 昔は名のある勇士だったらしいぞ」


北天馬騎士団 第十六支部

その壊滅に伴い、調査に来たところ 村は焼けており、避難していた村人たちを保護した。

村には、怪我をして待機していたオギリ副隊長もいた。


コイツの言う通り、この村の全焼は何かがおかしい

何があったのか、さらに詳しい調査が必要だが

上は報告を急かしている。


聖騎士団が任務で来ていて、その村が焼けたというのを

あまり、人々の間で広めたくないのだ


人々の生活を守るのが聖騎士団の第一存在意義だからな


「あーあ…」


空は、高く 青い―




(なんだ…?)


(僕はどうなった…??)


僕の体はまるで宙に浮いているかのような感覚に襲われていた。


(死ぬっていうのは、こんな感じなのか…?)


黒い光、僕の体はそれに引き裂かれた

見えなかった、閃光、痛みを感じない程の刹那だった


(どうせ死ぬなら、痛みが無いのは有難い…)


そんな風にも思えた



コショコショ…コショコショ…


なんだ? 何か聴こえる…??


ニヒ…ニヒ…


ああ、あいつらだ さっき見た目玉の…

何なんだこいつらは…?


僕の体に、黒い小さな目玉達がよじ登ってくる


ヒヒ・・・ヒヒヒ・・・カイ・・・カミ・・・


僕を食べようとしてるのか?

何かそれはいいんだけど、意識がある内は嫌だな…





僕は、そいつらに囲まれ包まれていった―。


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