第3話 継続と継承

例え逃げても、耳を塞いでも、投げ出しても

それは運命となって、いずれ貴方を襲うでしょう。




そうだ、最初に犠牲になったのはヌシさんだった


村から出発して二日目に、あの謎のマモノの襲撃にあった。


短い間だが、それでもヌシさんは気さくな人で、優しい人だというのはわかった


それが、あんな一瞬で…


ヌシさんは突然現れた敵の触手に捕まり、引きずられ 森の中に消えた


何人かですぐ、捜索に出た。



変わり果てたヌシさんは、すぐ見つかった。


同期だった人達は、泣いていた


ニエナさんは、何か記録していたが その手は震えていた。



そうだ、あの時のニエナさんは放心状態で 心配で付き添って

荷物の袋を一つ、代わりに持ったんだ


そして、すぐまた魔物たちの襲撃があって…



それが、ここに…


僕の目に止まったモノは、ニエナさんの荷物と、そこから飛び出した記録手帳だった


無我夢中で飛び込んだ時に、ぶちまけてしまったのだろう


物凄く詳しく、様々な事が丁寧に書かれている。

しかし、ヌシさんの死に直面した際の記述は、読める字ではなくなっていた


あんな時にも記録をしていたのは、プロ意識というより

気が動転して、いつもの習慣が出て来てしまったのか…


読み書きは得意ではない、まだまだ勉強不足だが

たどたどしく、僕はそこに文章を書き加えた


ヌシさんについての事を


( 僕は、ここで死ぬかもしれない )


漠然とだが、そう感じていたのは本当だ


ニエナさんも無事かわからない


僕は勝手に、記録を引き継ぐ事にした

何かしてないと、落ち着かないというのもある。


隊長さんは危ない、外には敵がいるかもしれない

だが、自分に出来る事など無かった


手記は、そんな僕を慰めてくれた


『そうだ、この遺跡 出来るだけ調べておくか…』



そもそも、騎士団の人達の目的はそれのはずだ


奥に、下に続く階段も見える


『行ってみよう…』




僕は、遺跡の奥へと歩みを進めた。




■ 遺跡は不思議な感じがした

  こういう場所に詳しい訳ではないが

  見た事もない石で、壁や彫刻が作られ、それは青白くぼんやり光っている

  古代の文字らしきモノが、そこら中に書いてあった。



(ニエナレポートより、抜粋)

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