第22話 昇格

「さぁ結果発表するよ!」


「美しき僕、ふっかぁぁつ!!」


魔力切れで倒れていたはずのアフォーは回復したのか、雄叫びをあげている。そして俺に気持ち悪い視線を送っている。


「あぁアレェン!! さっきは良かったよぉ!! 」


 ──くそっ、直接叩き潰しとけば良かったかな……


「あぁアレン、アレンアレン、アレェン!!

なぜキミはそんなにも愛おしいんだ!! 

その触れれば壊れてしまいそうな小さな体に秘められた力……あぁ食べてしまいたイィィ!!」


「……」


「アレェンン!!」


「風魔法──『風之神払いカゼノカミバライ』」


魔力切れで頭がさらにおかしくなったであろう変態を取り敢えず、壁まで吹き飛ばした。



「さっ君たちの合否の発表をするよ。

まずはレイ、ニーナ、メイの3名を…………」


 ──何事も無かったように進めるんだ……

ていうか、溜めすぎだろ。


「合格とする。君たちはこれからF級冒険者だ」


「フンッ当たり前だろ!!」


「やったわねっ!!」


「は、はい!」


 ──3人とも試合に負けたせいか、不安だった様だ。その分、合格が嬉しいのだろう。

まぁ受かるとは思ってたけど。

習得の難しい無属性魔法『身体強化』を扱うレイと、2人がかりだけど、極めればかなり強力な魔法になるであろう固有魔法を発動させたメイとニーナ。近い将来さらに成長して強くなっているだろうし。うん、また闘うのが楽しみだ!


「うんうん、大いに喜ぶと良いよ。

さぁお次はアレンとアフォーだ。君たちは………………」


 ──だから、溜めすぎだろ!


「マスター、いい加減ウザいですよっ」


「あはははっ、こういうのやってみたくてね。うん、二人とも合格だよ。よって君たちをE級冒険者とする」


 ──え、E級?


「まぁ本当はF級の依頼をいくつか受けてもらって昇格させないといけないんだけど、

君たちは魔物の討伐依頼を受けられる様になるE級でも良いかなって」


「フフフフッ、アレン!! 僕とキミはやはり……永遠のライバルの様だ!!」


 ──いつの間にかまた復活した変態が何か吠えてるが、そんな事は気にしない。

 

「君たちのギルドカードには後で反映させておくから、今日はここで終わりだよ。沢山依頼こなして頑張ってねー。それじゃあ解散!」


「……」


リオンがそう言った後、暫くしてアフォーやシエラ、レイ達は階段を上り、地上に戻っていった。





「あれ、君は帰らないのかな?」


 ──相変わらずのニヤケ面め、何で残っているのかも分かっている癖に。


「さっきリオン、アンタがすぐに分かるって言っただろ。だから今、ここで確かめたくてさ」


「フフッ良いよ、さぁやろうか。

君に──最強を教えてあげよう」


途轍もない魔力の奔流が当たりを踏め尽くした。


 ──こんな莫大で濃い魔力の持ち主は父様……家族以外に会ったことはない。


「あっ、そうだ。隠してないで雷魔法つかいなよ」


 ──やっぱ気付いてたか、リオンのやつ。


「全力でかかって来てね。じゃないと死ぬよ?」


 ──上等だ、最初はなっから全力でいく。


「こっちのセリフだ、よ!!」


俺は負けじと魔力を解放し、リオンの魔力を押し返す。


「そのニヤけ面歪ませてやるよ、覚悟しろ」


「うんうん、それは楽しみだね」


全身の魔力を、雷に変換……


 ──見せてやるよ、雷の身体強化……俺の固有魔法を!!


「雷魔法『雷霆之鎧ライテイノヨロイ』」


 ──さぁアンタの力……確かめさせてもらうぞ!!

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