第19話 アレンvsハーレム要員

さぁ見せてもらおうかっ!


「じゃあかかって来なよ、女だからって手加減して貰えると思わないでね」


とりあえず挑発して、攻撃してもらわないと始まらない。小さな子供だからって攻撃されないのは嫌だし。


「なっ! 生意気な子供ね。もう良いわさっさと終わらせてあげる! 行くわよメイ!」


「う、うん! ニーナちゃん」


見たところ2人とも後衛って感じだな。

多分、純粋な魔法攻撃だけ……魔法士ってとこかな?おっ、先に魔法を発動したのはメイって奴だな。


「水魔法──『水球ウォーターボール』」


おー水属性の基本魔法だ。

魔力制御は丁寧だし、魔力の無駄遣いも少ない。基本に忠実なタイプか。

取り敢えずこっちに真っ直ぐ飛んできている大きな水球をなんとかしようかな。


「フンッ!」


水球に拳を叩きつけ、粉砕する。

2年の修行の末、俺の身体は常に雷魔法で内側の身体強化、つまり『神経強化』を施している。これにより身体の力の100%を、それ以上をも引き出す事が出来るようになった。

勿論、初めは身体が壊れたと思うほどの副作用があったが、長い時間かけて慣れさせた。こうして俺の身体は今もなお限界を越え続けて成長している。


「ほへ?」


「な、何よそれ! メイの水球が!」


「これで終わり?そっちのツインテールも早く魔法使えよ、もしかして使えないの?」


「い、良いわ! 見せてあげる、後悔しても遅いわよ!」


次は口煩い女の方だ。


「炎魔法──『炎弾フレイムバレット』!!」


炎魔法か……それもまた基本魔法。

コイツらやっぱりまだ固有魔法は持ってないのか?


「それにしても……これが炎って、ぬるすぎでしょ」


2年前の俺を瀕死に追い込んだアリアの炎とは比べものにならない。

まぁ流石に直接手で触るのは嫌なので……

腰に差していた剣を抜く。

そして横一文字に剣を振るった。


「ほいっと」


五つの炎弾は纏めて吹き飛び消滅した。


「な、私の魔法が……!!」


「に、ニーナちゃん……」


「うーん、本当にこれで終わりなの?」


そうだとしたらレイとアフォーが飛び抜けていただけって事になる。正直期待ハズレだ。


「くっ、メイ! やるわよ!」


「う、うん!! ニーナちゃん受け取って!! 水魔法──『人魚之涙ウミノシズク』」


おー水属性の固有魔法! これは補助魔法か?ツインテールの魔圧が跳ね上がったな。さっきの魔法はブーストかなんかか。


「ありがとうメイ!! これでイケるわ! 炎魔法──『紅炎咆プロミネンスロア』!!」


飛び込んできている炎の塊はまさに竜の咆哮を思わせる。だが、魔力制御は雑で、魔力全てを炎に変換してぶつけてきただけって感じだ。まっそれでも良い固有魔法だとは思う、

今は2人いて初めて成立する魔法だろうけど。

うん! 良いもの見れたな!!

勿論お返しするのは忘れない。なんたって礼儀だからね! 俺はできた大人なのだ!


「風魔法──『科戸之風シナトノカゼ』」


立ち尽くす俺の身体の周りに暴風が立ち起こり、そして一つに束なった。

その風の束が炎を迎え撃つ。

この魔法は相手の攻撃をいなし跳ね返す性質を持つ。炎は方向を変え、2人に向かっていく。そのまま防ぐ事も叶わず直撃した。


「ニーナ!! メイ!!」


炎が消えた時には、2人の服は焼け、軽度だが火傷を負い地に伏していた。


「勝者、アレン君ですっ!」


最後のは2人の全魔力を合わせて放った魔法だ。2人とも魔法を発動した時点で魔力切れを起こしており、まともに動ける状態じゃなかった。まぁそれで避ける事は無理だと分かったから反射させたんだけど。


「おいお前!! アイツらに何しやがんだ!」


レイが俺に詰め寄ろうとした所で……


「ほら、落ち着きなよ。この子に食ってかかるより君が今すべきなのは倒れている2人に駆け寄る事なんじゃないのかな?」


「チッ! 覚えてろよ」


こちらに剣を掴み向かって来ようとしていたのをリオンが制した事で、レイは倒れている2人に駆け寄って行った。

そろそろ五月蝿いので、黙らせようと思っていた所で邪魔が入ってしまった。


「一応彼は将来有望な冒険者だからね。殺されるのは勘弁だ」


「別にわざわざ釘を刺さなくたって殺さなかったよ」


「フフッどうだかね」


「あっアレン君! 一人でよく勝ったねっ! おめでとー!」


リオンと話していた所をシエラが勢いよく抱きついてきた。


「ほらほらっ、お姉ちゃんがお祝いに抱きしめてあげる!」


「く、苦しいってシエラお姉ちゃん!」


「きゃあーー!かわいーー!!」


「うんうん、仲の良い姉弟みたいだ」


「ですよねっ! マスターもそう思いますよねっ! フフフッ」


「うんうん!」


リオンのやつ面白がってるな!!


「リオンめ……覚えてろよ」


「あっ! アレン君っマスターの事呼び捨てしたらダメだよ!」


うっ……絶対にやだ!!

俺は絶対にマスターって呼びたくないのだ。

このニヤケ面をした白髪の優男を。


「フフッ別に良いさ。アレン君は特別だよ。

そうやって呼ばれるのも新鮮だしね」


「うーん、マスターがそう言うなら良いですけどっ。もう……アレン君マスターにだけそんな態度取るんだからっ」


「フフッ……シエラ君は分かってないね。

コレは好きな人にだけ素直になれない、思春期特有のアレさ」


「違う!!」


「うんうん、分かってるよ。さて、最後の模擬戦を始めようか!」


コイツ絶対……俺の反応で楽しんでるだろ!! 

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