第18話 アフォーの実力

「土魔法──『驚き飛び出る土棘ビックリ・フォー』!!」


アフォーが魔法名を叫び、レイピアを地面に突き刺した途端、レイが立っていた地面が胎動した。次の瞬間、その地面から土で出来た棘が勢いよく飛び出す。数が多く、レイの実力では避け切れる筈もなく……


「ぐああぁ!!」


レイの身体を宙に放り上げた。


「フフフフッこれでトドメ、いやチェックメイトさっ!」


観客である俺達の方チラッと見て気持ち悪いウィンクを披露した後、レイピアを構え直し、宙を舞うレイ目掛けて突進した。

その剣先はレイの肩を寸分違わず突き刺した。


「美技──『君の心を射止める突きインペェィル・フォー』!!」


「がぁぁ! 痛ぇ、痛ぇぇよー!!」


「フォーーー!!!」


レイは肩を貫かれ地面に転がり回っている。

アフォーと言えば、勝利の雄叫び?を上げている。非常に気持ち悪い。


「ほらっシエラ君、決着だよ」


「そ、そこまでっ。勝者はアフォーさんですっ!」


泣きながら無様に転がり回るレイと、イカれたように叫んでいるアフォーを交互に見た事で頭が混乱していたであろうシエラはリオンの言葉で正気に戻った様だ。


「「レイ(君)!!」」


決着がつき、レイの連れ2人は急いで駆け出した。アフォーに関してはシエラに

「僕はキミの為に勝ったんだっ!さぁ僕と結婚しよう!!」と言い寄っている。

そしてビンタされてまた壁に激突……


「彼らはどうだったかな、アレン君」


「凄いよ! 俺も無属性魔法使えるから分かるんだけど、『身体強化』は結構難しいんだ。それにあの変態に関しては固有魔法を難なく使いこなしている、それもあの歳で……

ハハハッ!! 俺も早く戦いたくなってきた!!」


「うんうん、アレン君が歳について言うのはどうかと思うけど、まぁ概ね僕も同意見だよ。固有魔法は魔導士にとって一つの壁みたいなのだからね。新人冒険者が使えるって事自体珍しい。今回の新人は有望だね!」


そうなんだよ! ハハハハッ!! 

早く俺の番来ないかな!!

うーん……あっ良いこと思いついたぞ!!


「フフッ君の為にも早速次の試合やろうか」


「リオン! その事なんだけど……」


「……うんうん、わかったよ。アレン君の言う通りにしようか」


俺からのお願いを聞いてくれたリオンは次の模擬戦を始める為にもう一度全員を集めた。

壁まで吹き飛ばされていたアフォーを始め、泣き転がっていたレイも来ていた。涙は止まっているみたいだ。それとレイの貫かれた肩の傷は既に塞がっており、その事からこの場にどれほどの回復魔法が施されているかを確かめる事ができた。


「じゃあ次の模擬戦の相手を発表するよー。

1人目はアレン君だよ!」 


「チッそのガキか。あーあ、俺様が相手だったら超余裕だったのによ! 運が良かったな、くそっ!」


「もうっレイ! 負けたからってそんなにイライラしないの。アンタはちゃんと強かったわよ」


「そ、そうだよ。レイ君かっこよかったよ?」


「フ、フンッ当たり前だろ?運と相性が悪かっただけだ。本当なら村一番の俺の剣術が負けるはずがないんだ!」


「フフッそうよそうよ!」


「勿論です!」


なんだコイツら、嫌いだ。


「お次はアレン君の対戦相手! 

それは……そこのお二人ーっ!」


そう、俺がお願いしたのは残りまとめて戦いたいって事だ。だって、そっちの方がより楽しめる!!


「は、はぁ?なによそれ!」


「そ、そうです! こんな子が私達の相手って……」


「ププッハハハハッ! そうか分かったぞ! ギルマスのアンタはそのガキを早く負かしたいんだな?」


「うーん、まぁそう言う事で良いから。

さっさと準備してねーお二人さん」


「メイ、舐められてるわね私達」


「うん。可哀想だから、あまり痛めつけずに倒してあげようね、ニーナちゃん」


「うんうん、位置についたね。 

よしっ、じゃあシエラ君お願い!」


「は、はいっ! 始めっ」


ようやく、始まったよ。よーし、まずはお前らの力を見せてもらうぞ!!

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