第17話 模擬戦の始まり

「じゃあ自己紹介するよ。僕の名前はリオン、ギルドマスターだ。今回の試験官を担当する事になったからよろしくー」


ギルドマスターという言葉に俺以外の4人は各々反応を示した。

納得する者、疑う者、驚く者。


「フフフフッやはり!! 僕の試験官はギルドマスターでなければ務まらないというわけか!!」


いつの間に復活したんだお前は……。


「はぁ?お前本当にギルマスか?ギルマスってんならもっとガッチリしたムキムキのジジイとかだろ?」


「レイっ! 失礼な事言わないの!」


「そ、そうだよ〜。ほら、レイ君謝ろう?」


ほーなるほど、何となく関係性が分かってきたな。あの変態は置いといて、残りの3人は連れなんだろう。距離感からして幼馴染やら恋人かなんかか?


「まぁ僕はまだぴちぴちの20代だからねー、舐められても仕方ないけど……少し黙ろうか?」 


リオンから威圧されたレイという少年は肩を震わせた。


「うっ……」


「ご、ごめんなさい!」


「私からも謝ります! コイツには私から言っておくので」


女の子二人に守られて気分が良くないのか次はこちらを凝視してきた。


「じゃ、じゃあ!! 何でこんなガキが居るんだよ!! 冒険者ってのは成人した15歳からなるもんだろ!?」


どうやら、明らかに小さい俺が気に食わない様だ。だが勘違いしてはいけない。

俺は大人だ、誰がなんと言おうと歴とした大人なのだ!


「別にそんなルールは無いさ。そういう人が多いってだけだからね。まぁそんな事より、試験の説明を始めるよ?んーまずは、試験の目的からだね。これは冒険者としての最低限の戦闘能力を見ること。君たちが依頼をこなせる程度の実力を持ち合わせているかを判断するよ。色々試験するのはめんどくさいから、手っ取り早く模擬戦にしようかな。早速君たちの中で適当に戦ってもらいたいんだけど……」


「おいっ!! やるなら俺は冒険者を舐めくさっている、このガキが良いぜ!! 冒険者の厳しさを教えてやらないとな!!」


黄色の髪をした少年、レイが俺を指差していた。俺の初戦相手が早く決まるなら誰とでも良い。それとうるさいコイツを黙らせられるのなら願ったり叶ったりだと思っていたが……


「フフフフッ、キミィ!! こんな小さな子に対し、その恫喝するような態度。美しくないよ! マスター、このやかましボーイは僕が相手取ろう!!」


復活した変態が割り込む様にレイに宣戦布告をしだした。喧しいのはお前も一緒だろうに……


「なんだお前! 男のくせにそんな気持ち悪い格好しやがって。引っ込んでろよ!!」


全くその通りだ!! 


「おや?羨ましいのかね?この美しい僕が!!」


「なんだと!?」


レイなんかより、いちいち気持ち悪い決めポーズを取るこの変態を真っ先に黙らせたくなってきた。


「うん、そうしようか! じゃあ、そこの黄色髪と茶髪のキミね! 武器、魔法なんでも使用可能だから。じゃあ他のみんなは離れてねー、シエラ君開始の合図お願い!」


リオン的には誰と誰がやってもどうでも良いのか、この状況を楽しんでいる様だ。


「はいっ! ではレイさんとアフォーさんの模擬戦を開始します! はじめっ」


へー、アホーか……お似合いな名前だなぁ。


「さぁ、僕のレイピアの餌食になるとイイよ!!」


「フンッ! 俺の剣術には誰も勝てねーんだよ!! 無属性魔法──『身体強化』!!」


おっ無属性魔法か! やるなアイツ。


「フフフフッその程度の強化では僕の間合いは崩せないよ!」


「「レイ(君)頑張ってぇー!!」」


取り巻き二人が応援してはいるが、レイにはあのアホの素早い攻撃にはついてこれないだろうな。ほらっ、すぐに距離をとった。


「くっ」


「フフフフッ距離を取れば、この僕からにげきれるとでも?見せてあげよう! この美しき僕の魔法を!!」


この魔力の感じ、ダニエルが使う属性魔法と同じっぽいな。そして、固有魔法だ。

どんなアホみたいな魔法なんだろうか。 


「土魔法──『驚き飛び出る土棘ビックリ・フォー』!!」


うん、そんな感じだろうと思ったよ……

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