第11話 冒険者ギルドに行きたい

あれからアリアは俺と一緒に鍛錬を受け始めた。アリアは、はっきり言って強かった。

いや、異常なほど強い。下手すれば俺と並ぶほどだ……いや言い過ぎたな、俺の方が圧倒的に強い! そう、俺に勝てるわけが無い!!


「痛っ! 何すんだ!」


「何かムカついたの」


「俺はなにも言ってないだろ!」


「心の中で言われたわ」


「な、何で分かるんだよ!?」


「私はアレンのお姉ちゃんよ、当然なの! 

そんな事より、アレン行くんでしょ?」


そんな事って……まあ良いや。

行く?どこに?そう! 冒険者ギルドだ!!

あれから2年が経ち、俺は5歳になった!

ようやく屋敷の外に行ける許可が降りたのだ。


「うん、勿論!」


「じゃあ私もついて行く! アレン1人じゃ心配だわ、お姉様がついて行ってあげる!」


心配って……目がキラキラしてるんだけど。

自分が行きたいだけでしょ絶対。


「い、いやー。大丈夫だよ、俺強いし。だから1人で外出して良いことになったんだし」


アリアが付いてきたら色々連れ回されるに違いない! 俺は1人で行きたいのだ。


「ダメよ! 私もついて行く!」


ダメだ……アリアは俺と似て頑固なんだ。絶対に意見を曲げない。どうすれば良いんだ……。


「何の話をしているのかしら?」


おお! 母様だ!! 頼む、助けてくれ!!


「あのね! アレンが屋敷の外に遊びに行くって言ってるのよ。だから私もついてこうかなって」


「あら、そうなの?でもアレンはともかくアリアはダメよ」


「え、なんでよ!!」


「忘れたの?貴方は7歳になったんだから、

そろそろ淑女としての勉強をしないといけないの。これでも遅すぎるくらいなんだから。そういう約束で貴方に鍛錬の許可を出したのよ?」


「うっ、そういえば……。じゃ、じゃあアレンは!? アレンも貴族なんだから、勉強しなきゃでしょ!」


おい、アリアのやつ! 俺を売るなよ!!

「ふん! 私がダメなら、アレンも道連れよ!」

って顔してやがる。なんて酷いやつなんだ。


「あら、たしかにそうね。貴族の嫡男として教養は必要だものね。それに12歳になれば2人とも学園に通わなければならないのだから、入学試験に向けて勉強しないといけないわ」


「!? そうよ、そうだわ! アレンもお勉強しないといけないわね!」


フッ、アリア残念だったな。母様がきた時点で俺の勝ちは決まっていたのだ!


「お忘れですか、母様。僕は既に学園の入学試験を満点で通過できるだけの勉強は済んでいます」


「なっ!」


そう、俺は冒険者をするには邪魔になるであろう貴族に必要な教育とやらを先に済ませておいたのだ。それはもう、毎日の鍛錬が終わった後、血反吐を吐きながら勉強したのだ。

父様には「なにがお前をそこまで駆り立てるんだ……」って引かれたけど。


「あら、そうだったかしら?フフッ」


忘れていた?

いや、違う。母様は本当は覚えていたのだ。

母様はアリアの反応を見て楽しんでるんだ……。なんて腹黒いんだ……!

あの傍若無人なアリアでさえ、遊ばれる。

お、恐ろしい……!!


「あら、なにか言ったかしら?アレン。」


「い、いえ!! 何でもありません!」


だから何で心が読めるんだよ!

俺は2年前とは違って、ポーカーフェイスを長い長い修行の果てに手に入れたんだぞ!!……実際は勉強のしすぎで可笑しくなって、少しの間感情が消えてしまっただけなんだが。まぁその後回復魔導士を呼んでもらって事なきを得たが……。

こんな辛い経験の果てに獲得したポーカーフェイスが……破られるはずがない!!


「私は貴方の母親なのよ、アレンの心くらい読めるわ。勿論娘のアリアの心もね」


「えへへ」


説明になってないでしょ! 母親だから、姉だから心が読めるって……もう怖いこの人達!! あと、そこっ!! 照れるんじゃない!!


「さっ! お話はここまでにして、アリアは早速お勉強よ」


「そんなぁ〜お母様〜」


そう、アリアはこの2年で母様を2人目の母親として認めているのだ。まぁアリアの元からの性格なら馴染むまでにそう時間がかからないとは思ってたけどね。っとそんな事より


「それじゃあアリアお姉様ぁ〜!! お勉強頑張ってくださいねぇ〜!!」


目一杯ウザったらしく、ねっとり挑発する。


「くっ! アレン!! あとで覚えてなさいよ!!」


「こら、アリア。早く来なさい」


「は、はいっ!」


アリアはこちらを暫く睨んでいたが母様に連れられて行った。

よしっ! これで邪魔者が居なくなったな!

もう俺を止めるものは居ないのだ!!

フハハハハハッ…………これ、フラグじゃね?

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