第5話 属性魔法

あのニ度の呼び出しから翌日の朝。

俺は屋敷の敷地にある少し離れた修練場に来ていた。何故そんなものがあるのかエレナに聞いたことがある。武闘派貴族はそういうものなのだそうだ。つまり、よく分からん。

まぁこれで修行し放題なので俺には好都合である。

修練場の中央には剣を腰に差した俺と父が立っている。今日は属性魔法と剣術の鍛錬をするために修練場に来ているのだ。


「では始めるぞ、アレン」


「はい!」


何を始めるかというと先に属性魔法の適性を調べるのだ。


「適性鑑定はこの魔玉を使う。ほれっ、この魔玉に魔力を流してみろ」


父からなげ渡されたのは少し大きな透明な玉だ。見た目以上に重たい。

とりあえず、この玉に魔力を流せば良いんだよね?


「ふんっ!」


魔力を込めた瞬間、玉の中に激しい雷と竜巻が発生した。


「え、なにこれ」


「魔玉は適性に応じて中で起こる現象が変わるんだ。ほう、これは珍しい。お前の適性は雷と風の2つだ」


雷と風か……うん、面白そうだ。

あっそうだ。父様は何の適性持ちなんだろう? 


「父様は何の適性なんですか?」


「私は雷だ。エルガルド家当主は代々雷の適性を持って産まれるんだ。お前も持っている様にな。そうだ、風の適性はシルフィアが持っているぞ」


父と母の適性を受け継いだってことかな?

取り敢えずこれで、やっと属性魔法の習得ができる。


「属性魔法で行使出来る魔法は自身の性格や素質によるものが大きい。基本的に魔法は人に教えてもらうより自分で見つけていく方が実戦でも応用がきく」


それは同感だね。なにより自分で身につけていく方が面白いしね。


「ああ、それと忠告だ。適性以外の魔法は使わない様にしろ。良くて発動しないか、最悪暴発して死ぬぞ」


たしか、魔導書には適性が判明するまで属性魔法は使ってはならないって大きく書いてたな。だから今まで使ってこなかったんだし……。ちょっとなら良いかな?なんてついさっきまで思ってたよ。


「お前は先に注意しとかないと、何するか分からないからな」


どこまでも見透かされている気がする。うん、とりあえず誤魔化しておこう。


「いや、そんなことないですよー」


「ハハハッそうか、それは良かった。

ところで、お前は無属性魔法を問題なく使えるらしいな?」


ん?当たり前だよ。頑張って練習したからね。


「そうですけど、何かあるんですか?」


「ああ。普通はな、属性魔法の適性を持つものは、そうで無いものに比べて無属性魔法の修得が困難を極める。無属性魔法には適性が存在しない、誰しもが地道に長い時間をかけて身に付けるしか方法がないんだが、適性を持つ魔導士には何故か難しくな。だから属性魔法が使える魔導士にとっては不遇扱いされているわけだ。だから、適性を鑑定する前はもしかしたら、適性がないという事もあると思っていた」


へーそうなのか。てか無属性魔法って需要無しなのか?


「もしかして無属性魔法って弱かったりして?」


「一概にそうは言えん。無属性魔法には特殊な効果は無く単純な強化などだけだが、戦士や剣士なんかは無属性魔法だけで魔導士さえ容易に倒せる者もいるからな。適性の有無で相手の力量は計れんさ」


ふーん、用は使い方ってわけだ。まぁ適性って言う引き出しが多いほど面白そうだけど。


「よし、属性魔法については以上だ。次は剣術についてだな。言い忘れていたが私は剣術の方が得意でな。厳しくしていくから覚悟しろよ」


ここ最近で一番嬉しそうな顔をしている父様を見て、若干引いてしまったのはここだけの話だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る