草食ったのディアーバイオレンス
「狐さん待たせて悪かったね」
目の前に現れたイケメンに話しかけられる。
「まったく一瞬たりとも待ってなかったけど、ボラさん」
僕はそう返した。
「寂しいことを言うなよ。俺と狐さんの仲だろ」
「誤解するような事を言わないでもらえますか」
僕とボラさんが話しているのを横で聞いていた神ひなさんは少し困って見えた。
「どうする?飛ばしちゃう?」
「お願いします」
僕は神ひなさんにお願いしてボラさんを飛ばしてもらった。この世界線にボラ狐はあり得ない。
ボラさんが消えた向こう側から1人の人間が歩み寄って来る。あまりの殺気に空間が歪み陽炎のように揺らぐ。
「狐さん、神崎ひなたを返して貰おうか」
そいつも開口1番に決り文句のように告げてきた。
「草さんも認めましょうよ。ひな紺は公式です。それが正しい世界なんです」
「知らねえよ。俺の女を連れ去って逃げ切れると思っているのか、狐さん」
まるで修羅のような雰囲気を漂わせて草さんは語る。これは最初から本気で相手をしないとやられてしまう。
「
「
草さんはそう口にして右ストレートを僕に放つ。
何度交わしても殴られる。すでに運命が確定されている。
「狐さんに手を出すなッッ!!!」
神ひなさんがタイムスリッパーを発動させるも効果がない。右ストレートは僕の顔に吸い込まれる。
僕は吹っ飛んだ。鼻血が垂れる。
「狐さん。あなたが神ひなさんと結ばれるのは無理なんだよ。諦めて元の世界に戻せよ」
ここが覚悟の決め所か。僕は草さんと殴り合う。右ストレートをくらって踏み止まって殴り返す。また、殴られる。僕も殴り返す。ボロボロになってフラフラ足下が揺れる。それでも僕は殴り返す。
「狐さん。私で終わりだと思わない事だね。まだまだ世界を修正しに人は来るよ」
そう呟く草さんを背にして僕達は歩き出した。
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