まさかの出会い

あれから何時間眠っていたのだろう?

目が覚めるとそこには薄暗い所にいて、体はロープで縛られていた。

どうして僕がここに連れてかれたのだっと思っていると、目の前の扉が開いた。

扉の奥から白いスーツを着た男が現れた。

この男初めて出会ったのに、どこかで見たことがある顔だ。僕が男の顔を見ると男は笑みを浮かべた。

「久しぶりだな、天川春水。俺の事を覚えているか?」

「誰だお前は?このロープを解け!」

そう叫ぶと男は驚いた表情をしていた。

「本当に忘れたのか?」

「お前の事なんか知るか!」

そう言うと男はため息をついた。

「雰囲気や言葉遣いがまるで別人だ。どうやら噂は本当だったらしいな」

「噂だと?」

男は頷いた。

「嗚呼そうだ。今から約3年前に天川春水、お前が記憶喪失になったという噂をな」

「なん...だと...!?」

どうして記憶喪失の事が知られているんだ。

知ってるのは、担当の医師や会社の上司、そして春川さんぐらいしか知らないはずなのに、何故この男は知ってるんだ?

「なんで知ってるんだって顔してるな。当然だ、俺は闇社会の住人なんだからな」

「闇社会だと?それとこれとでなんの関係が有るんだよ」

「そんなの決まってんだろ。お前はー」

お前はっと言った瞬間、ドアが激しい音をたてて開き、途中の言葉は聞こえなかった。

「ボス!春川静海が来ました!」

僕は心の底から驚いた。どうして春川さんがここの事を知っていて来たのだ。

「分かったすぐに行く。おい、こいつを連れて行け」

男はそう言い、男の部下は僕に目と耳と口を隠され、体を縛られてどこかに連れられた。


春川静海視点

「地図で見るとここで間違いないね」

私はスマホの地図マップを見ながら言った。

天川さんが何故誘拐されたのかは分かる。

私をここまで誘う為に天川さんを誘拐したのであろう。それだと誰がいったいこんな事をしたのだろう?

考えられるとしたら、任務で運よく生き残った人が復讐してきたのか、あるいは私達の組織を壊す為に誰かに雇われたのかのどれかだろう。

出来れば前者の方がいいなっと悠長な事を思いながら廃墟となった工場の方に向かい、中に入った。

中に入るとそこは二階建てになっていて、鉄の柱や大きな長方形の鉄の箱などがあった。

私は足音を出さないように天川さんを探した。暗闇の中を探していると、目の前に陰が現れて、陰の方を目を細くして見ると、そこには体を椅子に拘束され、目と耳と口を布で封じられている天川さんがいた。

「天川さん今助けます!」

私が向かおうとした時、上から発砲音が聞こえて、足を止めて後ろに数歩下がった。

「素晴らしい反射神経だ」

男の声が聞こえて暗闇の方を向いた。

「どこだ、姿を現せ!」

私がそう言うと天井から光が出されて、奥から白スーツを着た男が現れた。

「初めまして春川静海さん。俺は鹿山というものだ」

「どうして私の名前を?」

男は人差し指で右の鉄の柱を指した。

「あの人が教えてくれたんだよ」

男がそう言った時、鉄の柱から肌黒い筋肉質の男が現れた。

「1ヶ月ぶりだな。あん時の仮を返しに来たぜ、女」

その男を見た時、私は驚いて目を見張った。

何故ならその男は1ヶ月前の任務で暗殺をしたはずの男なのだから。

「久しぶりね轟、生きてるとは運が良かったね」

「まぁな。鹿山さんがおらなかったら死んできたけどな」

男はにやりと笑みを浮かべた。

「なるほど、私をここに連れてこさせる為に天川さんを誘拐したのね」

「その回答は惜しい。確かにあんたをここに連れてくるのは合ってる。だが、天川を連れてきたのは他の目的だ」

「他の目的だと?なんなのそれは?」

「それは言わねえよ、これから死ぬ奴には」

鹿山は右腕をあげて指を鳴らした時、四方八方に刃物を持った人達が100人近く現れた。

「さぁ仲間達よ。パーティの時間だ!」

鹿山の部下達が雄叫びをあげて猪のように私に向かってきた。

「面倒な事になったね」

私はそう言い、スーツの長袖から鎖鎌を手に持ち構えた。

天川さん少しだけ待っててくださいねっとそう思い私は反撃をした。

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