後片付けをサボって、俺と3人組はそのボロ小屋に向かった。立ち入り禁止のロープを超えて、山の奥に入って行く。少し歩いただけで、小屋は見えて来た。言うほどボロボロじゃないけど、外壁のトタンがひどく錆びて、赤茶けていた。がっちり太めの人は怖がってるようだったけど、俺は構わなかった。

 小屋を回って入り口を探す。ドアが少し開いてた。戸惑う先輩達をよそに、俺はドアに手をかけた。少しだけ開いて中を覗く。

 そこでやっと、ともの言った言葉の意味を理解した。


 男の人が倒れていた。ピクリとも動かないその人は、きっとまだ、生きている。



「あっくんすごいね! 表彰物だよ!」

 興奮したように話すともを見ながら、複雑な気分になった。


 男の人が死んでいると思って腰を抜かした先輩達を置いて、俺は急いでキャンプ場に戻ると、すぐに先生にこの事を話した。

 それからの事はよく分からない。

 立ち入り禁止の所に勝手に入ったことを怒られて、みんなと一緒に宿泊所で寝た。布団に入りながら、みんなにどこに行ってたのか聞かれたけど、俺は寝たフリをして答えなかった。


 翌朝になって先生は、山小屋に倒れていた男の人は無事だということ、立ち入り禁止の場所に入ったのはよくなかったけど、すぐに先生に教えてくれたから助けられたと言って、褒めてくれた。

 事情を知ったみんなも、すごいすごいって言ってくれた。ヒーローだって言ってくれた。最初に小屋を見付けた3人もヒーロー扱いされて、まんざらでもない感じだった。

 俺達を褒める奴らの中に、とももいた。俺はそれが、すごく不満だった。

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